010:宮くんと私と失言 ページ10
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今日一日宮くんの顔見れない……。
その原因が何であるのか、考えなくても脳裏に浮かんでしまって、何度目になるか分からない熱を顔に感じる。
煩悩退散!煩悩退散!
そんな熱と邪な感情を洗い流すように、宮くんに貸してもらったシーブリーズを塗りたくる。
暴走続きの感情とは正反対な爽やかで透明感のある香りは、無条件に宮くんに合っていると思った。
「シーブリーズ使ってくれたんや」
ほげ〜っとその匂いに浸っていると、置いてきぼりにした宮くんがいつの間にか隣に居て。
スンスンと鼻を鳴らすさまに、今日も今日とて耳としっぽが見えてしまう。
「───頭撫でてみたいなぁ」
「おん……?」
「ブフッ……!」
目を丸くして私を凝視する宮くんと、視界の隅で肩を震わせている角名くんに目を瞬かせる。
え、なんか変なこと言った?
ていうか角名くん殴っていい?
ヴァイブレーションみたいに小刻みに震えている角名くんを睨めつけて、未だ固まっている宮くんの手にシーブリーズを返却した。
「……斎賀さん、俺の頭撫でたいん?」
「え?」
一時間目の用意をしようと机を漁っていた私は、思わず宮くんを二度見する。
え、なんで知って……え?
頭に過った最悪の予感に、唇がわなわなと震える。
それでも間違いであって欲しいと願わずにはいられなくて、第三者の角名くんを見た。
けれど角名くんは無情に親指を立てる。
「あっ……」
頭の中で、私の高校生活終了を告げるゴングが鳴り響いた。
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ria(プロフ) - 私の心にズキュンっときました。運命ですね。好きです(真顔)更新、頑張ってください! (2020年9月12日 20時) (レス) id: 52e75d4e08 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ味のリンゴ - なんだろ・・・・・・読み始めた時から運命だったのかな(は 、もう好きです(唐突 (2020年9月12日 17時) (レス) id: 106317acf4 (このIDを非表示/違反報告)
東花 - うん、、あの、、あれ、、もう、、うん、、好きです(語彙力) (2020年9月7日 15時) (レス) id: 8268995d78 (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - いや、、なんか、、あの、、えーと、、好きです(迫真) (2020年9月7日 15時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さいとー | 作成日時:2020年8月15日 12時