検索窓
今日:20 hit、昨日:28 hit、合計:287,365 hit

007:宮くんと私とシーブリーズ ページ7

.



翌朝。


完全なる寝坊を決め込んだ私は、朝練が終わってもぬけの殻となったグラウンドを駆け抜ける。


昨日宮くんにイチゴオレを貰えたのが嬉しすぎて、アドレナリンを大放出していた脳は、私をなかなか眠らせてくれなかった。


その結果が今である。


絵面は食パンを食わえて学校に急ぐヒロイン……なんて可愛いものではない。


口には食パンではなく酸素を取り込み、体力テスト以来の全力疾走をする私。


勿論そこに、曲がり角でぶつかるというイベントはない。




「はぁ……はぁ……しんっど」




何とかSHRまでに下駄箱に辿り着き、膝に手を着いて一段落する。



やっぱ体力落ちたなぁ。

ランニングくらいした方が良いかもしれない。



火照った体をシャツで仰ぎながら、下駄箱にローファーを突っ込む。




「あれ?斎賀さんやん」




上履きを取り出していた動きが止まる。


まさか……と思いながら顔を向ければ、案の定そこに居たのは宮くんで。


ひょこり、その後ろから角名くんが顔を覗かせた。



絶対今日の星占い一位だ。



寝坊をして見損ねてしまったけれど、朝から宮くんに会えるというラッキーに恵まれたので、勝手に決めつける。




「あ、ホントだ。ていうか汗だくだね」




朝練終わりだろうに汗だくではない角名くんにそう言われ、女子力という名のプライドに傷がつけられた。



……角名くんなんて身長十センチ縮んじゃえ。



宮くんに汗臭いと思われたくなかったので、急いで上履きを取り出して履く。




「シーブリーズ使うか?」




ちょっと荒々しく下駄箱を閉めた私に、宮くんが紫色のボトルを差し出してきた。



え"……。



ぎょっと固まる私に、宮くんは不機嫌そうな顔。




「返すんいつでもえぇから」




それから私の手を掴んで、紫色のシーブリーズを握らせた。





.
 

008:宮くんと私と角名くん→←006:宮くんと私とイチゴオレ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (257 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
804人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー!! , 宮治 , 稲荷崎高校   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ria(プロフ) - 私の心にズキュンっときました。運命ですね。好きです(真顔)更新、頑張ってください! (2020年9月12日 20時) (レス) id: 52e75d4e08 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ味のリンゴ - なんだろ・・・・・・読み始めた時から運命だったのかな(は  、もう好きです(唐突 (2020年9月12日 17時) (レス) id: 106317acf4 (このIDを非表示/違反報告)
東花 - うん、、あの、、あれ、、もう、、うん、、好きです(語彙力) (2020年9月7日 15時) (レス) id: 8268995d78 (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - いや、、なんか、、あの、、えーと、、好きです(迫真) (2020年9月7日 15時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さいとー | 作成日時:2020年8月15日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。