007:宮くんと私とシーブリーズ ページ7
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翌朝。
完全なる寝坊を決め込んだ私は、朝練が終わってもぬけの殻となったグラウンドを駆け抜ける。
昨日宮くんにイチゴオレを貰えたのが嬉しすぎて、アドレナリンを大放出していた脳は、私をなかなか眠らせてくれなかった。
その結果が今である。
絵面は食パンを食わえて学校に急ぐヒロイン……なんて可愛いものではない。
口には食パンではなく酸素を取り込み、体力テスト以来の全力疾走をする私。
勿論そこに、曲がり角でぶつかるというイベントはない。
「はぁ……はぁ……しんっど」
何とかSHRまでに下駄箱に辿り着き、膝に手を着いて一段落する。
やっぱ体力落ちたなぁ。
ランニングくらいした方が良いかもしれない。
火照った体をシャツで仰ぎながら、下駄箱にローファーを突っ込む。
「あれ?斎賀さんやん」
上履きを取り出していた動きが止まる。
まさか……と思いながら顔を向ければ、案の定そこに居たのは宮くんで。
ひょこり、その後ろから角名くんが顔を覗かせた。
絶対今日の星占い一位だ。
寝坊をして見損ねてしまったけれど、朝から宮くんに会えるというラッキーに恵まれたので、勝手に決めつける。
「あ、ホントだ。ていうか汗だくだね」
朝練終わりだろうに汗だくではない角名くんにそう言われ、女子力という名のプライドに傷がつけられた。
……角名くんなんて身長十センチ縮んじゃえ。
宮くんに汗臭いと思われたくなかったので、急いで上履きを取り出して履く。
「シーブリーズ使うか?」
ちょっと荒々しく下駄箱を閉めた私に、宮くんが紫色のボトルを差し出してきた。
え"……。
ぎょっと固まる私に、宮くんは不機嫌そうな顔。
「返すんいつでもえぇから」
それから私の手を掴んで、紫色のシーブリーズを握らせた。
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ria(プロフ) - 私の心にズキュンっときました。運命ですね。好きです(真顔)更新、頑張ってください! (2020年9月12日 20時) (レス) id: 52e75d4e08 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ味のリンゴ - なんだろ・・・・・・読み始めた時から運命だったのかな(は 、もう好きです(唐突 (2020年9月12日 17時) (レス) id: 106317acf4 (このIDを非表示/違反報告)
東花 - うん、、あの、、あれ、、もう、、うん、、好きです(語彙力) (2020年9月7日 15時) (レス) id: 8268995d78 (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - いや、、なんか、、あの、、えーと、、好きです(迫真) (2020年9月7日 15時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さいとー | 作成日時:2020年8月15日 12時