邪な気持ちがあるだけで ページ33
.
「嬉しい」
ホンマに小さい声で呟かれたその言葉は、独り言やったんやと思う。
けど、それをしっかり拾った俺の耳は、スマホから斎賀さんへと視線を向けさせて。
数秒前の俺と同じようにスマホを見つめる横顔には、見惚れてまうくらい綺麗な笑みが、滲むように浮かんどる。
「なぁ、斎賀さん」
「……?」
「抱きしめてもええ?」
その笑みを、存在を、全部俺のもんにしたい。
昼休み、片思いが実る可能性について言ってた斎賀さんの言葉が頭を過る。
可能性はゼロやない。
本人の頑張り次第やって。
「だっ、抱き!?どっ、えっ、抱き……??」
込み上げてくる衝動は、驚きすぎて混乱しだした斎賀さんを他所に、後先考えんまま俺を動かして。
承諾なんて得てへんのに、斎賀さんを腕の中へと閉じ込める。
「みっ、みやく……」
「ん?」
「どっ、どうしたの?」
「明日斎賀さんに会えるまでの元気、充電しときたいなあ思て」
その言葉に嘘偽りはない。
ただちょっと、これで意識してくれへんかなあっていう、邪な気持ちがあるだけで。
.
804人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ria(プロフ) - 私の心にズキュンっときました。運命ですね。好きです(真顔)更新、頑張ってください! (2020年9月12日 20時) (レス) id: 52e75d4e08 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ味のリンゴ - なんだろ・・・・・・読み始めた時から運命だったのかな(は 、もう好きです(唐突 (2020年9月12日 17時) (レス) id: 106317acf4 (このIDを非表示/違反報告)
東花 - うん、、あの、、あれ、、もう、、うん、、好きです(語彙力) (2020年9月7日 15時) (レス) id: 8268995d78 (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - いや、、なんか、、あの、、えーと、、好きです(迫真) (2020年9月7日 15時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さいとー | 作成日時:2020年8月15日 12時