019:宮くんと私と強者 ページ21
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「榊さんに……」
無言で角名くんを見つめていて、やっと口を開いてくれたと思ったら、親友の名前が出てきて首を傾げる。
よそよそしい原因と司ちゃんに、どんな関係があるのだろうか。
「斎賀さんに呪われたからその呪いを解く方法知らない?って訊いたら、『焼きプリンあげたら一発やで』って教えてくれたんだよね」
「んっふふ」
司ちゃんの真似をする角名くんが、余りにも似てなさすぎて笑ってしまう。
高い声が出せなくてカッスカスの声と、関西弁のようで関西弁じゃないイントネーションがツボだ。
「……えらい楽しそうやん」
「あ、治」
角名くんの背後から現れた宮くんに笑みが固まる。
気が逸れて感じなくなっていた胸の痛みが、また私を襲いだした。
「おかえり。告白どうだった?」
「別にいつも通りやけど?」
「そ」
何がいつも通りなのか気になって仕方ないけど、それを訊く勇気は勿論ない。
若し付き合ったなんて言われたら、不登校になる自信しかないし。
……でも、諦めは着くかも。
自分からは好きだと伝えない。
宮くんが好きになってくれる事もない。
終着点がないように見えた恋心だけど、宮くんが誰かと付き合うなら終わりも見える。
「俺はそろそろお暇しようかな」
悲しい終わり方だ……なんて思いながら、腰を上げた角名くんをぼんやり見つめていれば、徐に顔を近づけてくる。
なんかデジャヴ。
「───治、告白断ったって」
「!!」
耳許で教えられた真実に、あんなに感じていた胸の痛みがスっと消えた。
宮くんが告白を断った事に安堵する私は、心底最低な女だ。
「じゃあね」
愉しそうに笑みを浮かべる角名くんには、きっとこれからも勝てない。
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ria(プロフ) - 私の心にズキュンっときました。運命ですね。好きです(真顔)更新、頑張ってください! (2020年9月12日 20時) (レス) id: 52e75d4e08 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ味のリンゴ - なんだろ・・・・・・読み始めた時から運命だったのかな(は 、もう好きです(唐突 (2020年9月12日 17時) (レス) id: 106317acf4 (このIDを非表示/違反報告)
東花 - うん、、あの、、あれ、、もう、、うん、、好きです(語彙力) (2020年9月7日 15時) (レス) id: 8268995d78 (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - いや、、なんか、、あの、、えーと、、好きです(迫真) (2020年9月7日 15時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さいとー | 作成日時:2020年8月15日 12時