003:宮くんと私と芽生え ページ3
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「自分もなんも持ってへんの?」
無反応な私に宮くんが悲しそうな顔をする。
見える、見えるぞっ!私には見える!
幻覚である筈の耳としっぽが、更にヘナヘナと垂れていくのが!
何処ぞの大佐のような気持ちになりながら、私は無表情で机にかけていたスクールバッグを漁る。
宮くんの期待に満ちた眼差しが痛い。
穴開けられそう。
なんかもっと腹の足しになるような物を買っとけば良かったな〜と思いながら、今朝コンビニで調達したばかりのカロリーメイト(プレーン味)を宮くんに献上する。
「えぇの!?」
良いんです良いんです。
貴方のような人に食べられた方が、このカロリーメイトも本望でしょう。
という意味を込めて肯いた私の手から、カロリーメイトを受け取る宮くん。
その時私の指先に宮くんの指先が触れて、危うく意識を飛ばしかけた。
地平線に向かって今の気持ちを叫びたい。
宮くんのアホー!天然タラシー!イケメンー!って。
「これほんまにもろて良いん?」
貰ってくださって良いので喋りかけないでください心臓発作で死にます。
なんて言える訳もないので赤べこのように肯いておく。
宮くんの期待に満ちた表情が、みるみるうちに喜色に染まった。
「ほんまありがとうなぁ」
あまりにも無垢な笑顔。
最早チートな不意打ちに、自分でも分かるくらいに顔が熱い。
それを宮くんに気づかれるのはマズかったので、急いで顔を背けた。
───......不毛すぎる。
頭では分かっていても、それはもう私の中で芽生えてしまった。
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ria(プロフ) - 私の心にズキュンっときました。運命ですね。好きです(真顔)更新、頑張ってください! (2020年9月12日 20時) (レス) id: 52e75d4e08 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ味のリンゴ - なんだろ・・・・・・読み始めた時から運命だったのかな(は 、もう好きです(唐突 (2020年9月12日 17時) (レス) id: 106317acf4 (このIDを非表示/違反報告)
東花 - うん、、あの、、あれ、、もう、、うん、、好きです(語彙力) (2020年9月7日 15時) (レス) id: 8268995d78 (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - いや、、なんか、、あの、、えーと、、好きです(迫真) (2020年9月7日 15時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さいとー | 作成日時:2020年8月15日 12時