013:宮くんと私と助け舟 ページ14
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「なんや」
静まり返った体育館に棘のある声が響く。
反射的に顔を上げれば、不愉快さを隠そうともしない宮侑くんと目が合って肩が揺れた。
こっっっわ。
今朝の宮くんの数倍は怖いその顔に、思わず角名くんの背中に隠れて様子を窺う。
「お前呼んでんのとちゃうわ。自意識過剰も大概にしろ」
「はぁ!?」
宮くんは掴んでいた胸ぐらから突き放すように手を離して、未だに掴まれている胸ぐらの手を叩き落とした。
「授業再開すんで〜」
先生の声と共に散らばり出した生徒に、どうやら喧嘩は止められたようだと安堵する。
精神的にどっと疲れたが、恥ずかしい思いをした甲斐はあった。
「角名どけ」
「はいはい」
角名くんの背中に遮られていた視界が拓けて、今度は宮くんに遮られる。
あれ?
仕切りネットを鬱陶しそうに触る宮くんの左頬が赤いように見えた。
「斎賀さんどうしたん?」
「えっ、いやっ……」
角名くんに呼べと言われたから呼んだだけの私は、特に話す事がなくて視線を泳がす。
そんな反応に宮くんは不思議そうに首を傾げた。
マジ可愛いですありがとうございますご馳走様です。
心の中で宮くんに拝みながら、色々耐え切れなくなった私は助けを求めるように角名くんを見る。
「侑のノーコンサーブ当てられたとこ赤くなってるし、手当してもらったら?頭も打ったでしょ」
可笑しそうに笑いながらも助け舟を出してくれた角名くんは、自分の頬を指で叩きながらそう言う。
やっぱり頬が赤く見えるのは、気の所為じゃなかったんだ。
しかもその原因が宮侑くんのサーブって、そりゃあ喧嘩にもなるよね。
ちょっと腫れてしまうくらいには威力があったであろうサーブを想像して、思わず顔を顰めた。
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ria(プロフ) - 私の心にズキュンっときました。運命ですね。好きです(真顔)更新、頑張ってください! (2020年9月12日 20時) (レス) id: 52e75d4e08 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ味のリンゴ - なんだろ・・・・・・読み始めた時から運命だったのかな(は 、もう好きです(唐突 (2020年9月12日 17時) (レス) id: 106317acf4 (このIDを非表示/違反報告)
東花 - うん、、あの、、あれ、、もう、、うん、、好きです(語彙力) (2020年9月7日 15時) (レス) id: 8268995d78 (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - いや、、なんか、、あの、、えーと、、好きです(迫真) (2020年9月7日 15時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さいとー | 作成日時:2020年8月15日 12時