002:宮くんと私と垂れ耳しっぽ ページ2
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誤魔化しが利かないくらいにかち合った視線。
けれども反射的に顔を背ける。
ヤバい見つめてたのバレた。
やましい事なんて考えてないから私のアオハルよ終わらないで。
最早動悸レベルに脈打っている胸中で神に拝みながら、私は何でもない風を装って窓の外を眺めるに徹する。
きょうもおそらはきれい。
「なぁ」
隣の席から声が聞こえてくるとか知らない。
きっとまた角名くんに声をかけているんだ。
仲良きことは良いことだなぁ〜。
「なぁって」
しかし流石は宮くん。
現実逃避している相手を前にしても挫けない。
どころかちょんちょんと控えめにカッターシャツの袖を引っ張ってくる。
行動が可愛いかよ、震えたい。
しかしこれは顔を向けなければ勝ち確なので、担任が来るまで気づかないフリをキメ込めば良いのだ!
あと数分耐えろ私!
「流石に傷つくんやけど……」
しかしそんな確固たる意志も、彼の落ち込んだ声を前に秒で崩れ去った。
さよなら私のアオハル。
恐る恐る顔を向ければ、「あ、やっとこっち見てくれた」と、机にべちゃっと頬をつけて私を見ている宮くん。
なんですかあざとくないですか?
て言うかあんな声出されたら誰でも見ます。
あと角名くんはなんでスマホを構えてるの?
言いたい事は山ほどあるけれど、校内人気一・二を争う宮くんを前にすると口を開けない。
最早呼吸するのも躊躇っちゃうよ。
マジレベチ。
「なぁ、なんか食べもん持ってへん?腹減り過ぎて死にそうやねん」
眉と眦を下げてそう言う宮くんに、垂れた耳としっぽが付いている幻覚が見える。
その切なげな表情は計算か?計算なのか?
だとしたら恐ろしいよ宮くん……。
無自覚でも恐ろしいけどね。
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ria(プロフ) - 私の心にズキュンっときました。運命ですね。好きです(真顔)更新、頑張ってください! (2020年9月12日 20時) (レス) id: 52e75d4e08 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ味のリンゴ - なんだろ・・・・・・読み始めた時から運命だったのかな(は 、もう好きです(唐突 (2020年9月12日 17時) (レス) id: 106317acf4 (このIDを非表示/違反報告)
東花 - うん、、あの、、あれ、、もう、、うん、、好きです(語彙力) (2020年9月7日 15時) (レス) id: 8268995d78 (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - いや、、なんか、、あの、、えーと、、好きです(迫真) (2020年9月7日 15時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さいとー | 作成日時:2020年8月15日 12時