［戦ブラ］甘くて楽しい短編集

＊ ページ21

「どんな貴方であれ、俺は貴方の味方です。いつでも、伊達領に戻ってきていいんですよ。

きっと、政宗達も喜んでくれるでしょう。」



『そう、ね…。』

悲しい目をしていた気がした。


下を向いて微笑み、また頷く。



「では、失礼します。幸せに」


『あら、気が早いわ。まだよ。決まったわけじゃ無いもの。

戸籍は伊達よ。』


「…そうでしたね」



こうやって笑い合えるのも今だけなのか。






俺はそっと部屋から出た。

後は政宗に任せる。



「何かあったらすぐ呼んでくれ」

「…私情か？」


「…あぁ。」


「…もう少しで到着する筈だ。案内を頼む。

いらないと判断したら切り捨てろ」




そこで俺達は別れた。


真っ直ぐに門へと向かい、家臣五人ほどで堂々と歩いてくる同盟軍の総大将を迎える。



「遠くからわざわざお越しくださり、誠に光栄です」


全身黄金色の鎧を見に纏い、いかにも傲慢な奴。



「よい、我が提案したことだからの。さて、案内してもらおうか」


刀は鞘へ、周りの兵も攻撃してくる気配などは無い。




「此方へ。見合いの掟により、護身兵は入ることができません。

成実。後は頼む」

「ほーい」



俺がやることは済ませた。

決まるなら早く決まってくれ。


俺に決心をつけさせてくれ。諦めないといけない運命だから。

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