アカシャ・クイール (ページ15)

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……間が空く。

ルキ「…あたしは明るいんじゃなくて、考える事を放棄したのさ。」

どういうこと？と聞き返したかったけれど、ルキアの声の響きにどこかほの暗いものを感じて、やめた。喉に何か張り付いて声が出ないようだった。
こんなことよりも恐ろしいことなんて、沢山経験しているはずなのに、ルキアの声の中のほんの少しの暗さが恐かった。

私が黙ったからか、ルキアも、それきり口を開かなかった。
人に忌み嫌われることなんて、何でも無かったはずなのに。

ずっと、日が暮れるまで、私は口を開かなかった。ルキアといた時は、笑い声が絶えなかったはずなのに。

ガサリと、茂みから音がした。人がいなければ鳴らない音。獣ではない。
とっさに剣を構える。

…ルキアがいない。周りを見渡せば、すぐ見つかった。敵の手に捕らわれた状態で。

？？？「やぁ、クイールのお嬢さん。久しぶりだね。」

また、あのへらへらした男だ…何故か傷を負ってはいるが。血が僅かに滲んでいる。ルキアに何かされたのだろうか。
そんなことを考えている場合ではない。ルキアの首にナイフが当てられているのだから。

ルキ「いいよ、アカシャ。あたしを見捨てて逃げな。ね？」

ルキアが困ったように眉を下げ笑う。
少し身じろぎしたからか、白い首筋に血が滲む。
見ていられない。

でも、斬りかかろうにも、ルキアが捕らわれているのでは私の俊敏性でも間に合わない。
ルキアを置いて逃げても、罪悪感は残るだろうし、きっとどちらにせよ殺される。

最期に、友人を守って死ねたら格好いいな。

変なスイッチが入る。
そう考えてしまえば一瞬で、短剣を男の眉間にむけて投擲する。
投擲、苦手なんだよな。

意を決して前に向き直ると、返り血を浴びたルキアと、崩れ落ちた男がいた。反応鈍。

ルキ「アカシャ！すごいじゃないか！」

アカ「ちょっと待て返り血浴びたまま来られるのは怖い。」

ルキ「あぁ、ごめんよ。」

久しぶりに会話した…

ルキ「ふぅ～、油断したね。」

にこにこと笑むルキア。呑気に笑ってる場合かよ…

ルキ「この短剣、どうするんだい？殺人の凶器を持ち歩くのも気が引けるだろ。」

アカ「…私は騎士。それくらい普通だ。」

ルキ「おおぅ怖い。」