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その声はとてもゾワりとするような、気持ちの悪い嫌なものだった。
よほどの憎悪的感情がなければ出ないであろうドロドロとしてグチョグチョとして……今日は夕飯を食べないでいいかなと思うくらいには酷い。
声に対抗するためか、口の端は上を向く。
「さぁ、何のことやら?」
lu「ふぅん。シラを切るんですね」
無言の攻防が続き周りがどうしたのかと心配し始める。そのタイミングでちょうど良くルナは俺から離れた。
lu「何でもないですよ。……では、失礼します」
どこで学んだのか。お嬢様らしい礼をして、親衛隊たちとスタスタ中央から去っていった。
sha「ちょ、通らせて〜!」
イベントが終わったからか移動の制限でもなくなったのか。ごめんなーと言って、シャオロンが野次馬の森からぴょこりと飛び出す。
俺が地面に座っていたからか驚いて駆け寄ってきた。大丈夫かと言って差し出してくれる細い腕。
やはり訪れる人間が違えば嬉しく感じるものらしい。
あの腕を借りることに多少の不安を持ったが、ここはやはり借りる流れ。
(8割ほど自分の力だったが)立ち上がらせてもらった。
「ありがと」
sha「なんの騒ぎかと思って来たら流石に驚いたわ。はよ移動しよや」
今日Aの飯食べたい！
ニカリと笑う彼の笑顔は季節とは真逆の暖かさ。俺は喉を通るか不安を残しているが、一緒に食べる時には胸焼けのようなあのドロドロも減っているだろう。
「いいよ。俺も少し頼みたいことあるし」
食べたいものあったら作るけど。そう言うとシャオロンは無邪気に喜んで熱心に考え始めた。
指を折る回数が多くてくすりと微笑んでしまう。そんなに食べたいものがあるなら、もっと覚醒後のウツみたいに来てくれていいのに。
野次馬だった生徒たちは生徒会所属でかつ以前は人気者だったシャオロンが、周りを気にせず俺と仲良くしてるからか驚いた目をしていた。
こういう場面はついドヤ顔してやりたくなる。残念だったなお前ら、俺にはこんなにも素敵な人が身近にいるんだぞ、と。
sha「待って決めれへん⁉︎歩きながら決めてもええ?」
「もちろん。それじゃ行こう」
sha「おん!」
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作者名：あんべべ | 作成日時：2022年4月17日 17時
