恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ Ⅲ【男主】 (ページ50)

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reu視点

機密的情報もほぼミドリくんを通して殆どがバレていたことに俺は頭を抱えた。

re「アイツにバレたら一貫の終わりだけど?」

お仕置きとして闘技場でのアレを2日間続けて受ける…ならば幸運。アイツの不機嫌具合によっては壊れきって廃人になりかねない。

md「だからバレないようにしてるじゃん。それに基本的には情報流すだけだし」

Aさんの魔法すごいんだよ、と我が物顔で言われる。あの緑くんをあそこまで手懐けているほどだから、本当に技術力は高いのだろう。

もともと力が欲しくて入った俺には、ゼペルさんのすごさはイマイチ理解できてないけれど。

re(なんならあっちも技術欲しさだった…よな…?)

「どうします?聞かなかった事にするか、ミドリと同じように俺と仲良くするかの2択です」

どちらにします?と聞いてくるゼペルさんはいつもより大人っぽくて、表情もはっきりわかる。…悪い笑みではあるけど。

re「貸すとしても、だよ。リスクは冒したくない…壊れるのは嫌だ」

まだ回復しきってないからか、気付かぬ内に本音を零す。

「なるほど」

ゼペルさんは俺の方に向き直して、目を合わせる。
多くの人に嫌われている色違いの瞳。だけどどこか透き通っていて、かつ美しさを持っていた。

「あの担任がどんな事を貴方にしたかはわからない。でも俺はあんな状態にはしないし…壊れそうな時は、助けます」

笑った。普段の生活の中で一切その表情を見せてこなかった彼が。この生徒は、こんなにも暖かい笑顔を見せる事ができたのか。

re(こんなの…まるで光じゃないか…)

希望のようなものを感じ、俺は縋るように聞いた。

re「ほんとに、また助けてくれる?」

繋いでいた右手を彼は両手で包み、そして色に反して真っ直ぐな白い光を持つ瞳でこちらを映しながら言った。

「________ええ、必ず」

心が軽くなると同時に視界が滲んだと思ったら、頬に水が伝う。その水は止まることがなく、繋いでいた手にぽたり、またぽたりと溢れていった。

「ありゃ、さっき泣き止んだばかりなのに」
re「Aさ、ん……」

ふわりと甘い香りと共に彼は魅惑的に微笑んだ。

「これからよろしく、レウ」
re「うん、よろしく…お願いします」

その瞬間、蜜のような甘さが口の中に広がり、思考がドロドロと溶けていく。

md「レウさん、こっち側へようこそ」

Aさんの後ろにいる緑くんの瞳には、黒いハートが浮かんでいた。