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午後。昼食を食べ終えて実技の試験が始まる。
ホールは4月にあった実力調査試験と同じ様装に早変わり。
俺は実技用の動きやすい服装へと指パッチンで着替え、人が少ない端の方へと移動しようとしていた。
…のだが。
ci「A」
できなかった。
交流が絶たれていたチーノがコッソリと来たのである。ちなみにその後ろには首根っこを掴まれショッピがズルズルと引きずられていた。
「2人は仲直りできた？」
shp「…できたんか俺ら」
ci「…多分?」
「なんで当人たちがわかってないんだ…」
自然と戻ったという感じなのだろう。ここ最近は特にショッピが近付いてくるチーノに対しまるで猫のように威嚇をしていたし。引きずられるくらいなら多分大丈夫だろう。
「それで、どうして俺の所に?」
ci「…その、」
shp「俺は言わんからな」
わかっとるし！とチーノは少し声を荒げる。
静かに話を待つ。
ci「1週間前に教師たちから、事件のことやAがどういう状況に置かれていたか聞いた」
「…そうですか」
ci「俺、まんまと騙されて……なのに勝手に裏切られたと思って…事件の解決だってAがいなかったら…新しい犠牲者も出てたかもしれん」
彼は深く体を折る。
ci「本当にごめんなさい。それと、事件の真相を暴いてくれてありがとう」
俺はもたれ掛かっていた壁からチーノの目の前まで歩く。
メガネ越しに見える宝石の様な瞳にはいっぱいの涙が浮かんでいる。
俺の足が止まると同時に一滴、二滴。
「あーあ、ひどい顔してますよ?」
ci「…ぅるさい」
持っていたハンカチを彼の目元に当てる。
「チーノ」
ci「な、なに？」
「俺のこともっと嫌いになった?」
ci「なりかけた、けど…こんなヤツ嫌いになれるわけなかった」
「…そっか」
どこか安心している自分がいた。
ゼペルの家だし、悪い噂は絶えないし、チーノとの関係性は互いに遠いままで破滅だけは避けれる様にしようかとも考えてたのに。まさかその言葉をもらえるなんて。
思っていたよりも俺はチーノとまだ仲良くしていたかったようだ。
ci「今度、改めて一緒にディナー食べような」
愛嬌のある笑顔と共にチーノは言った。
「もちろん。その時は俺がご用意するよ」
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年10月9日 16時
