恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ Ⅲ【男主】 (ページ22)

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「ショッピ……なん、、で、うおっ」

突然の登場に驚く俺を抱え、即座に空へ急上昇。
早い。雷属性の魔法も合わさってなのか、目をつぶってしまうくらいには勢いが凄まじい。

shp「A、大丈夫か?」
「大丈夫。…て、そのボード」

吹いてくる横からの風にデジャブを感じて下を見る。
そこには、いつかのフェスで変装した俺が使ってたようなスケートボードがショッピの足元にあった。
この世界には元々なかった物のはず。フラワーフェスで俺が使ったくらいだったが…。

shp「その話は後や。…あいつが犯人?」
「あ、ああ。思った以上に強敵で…」

強敵、その言葉を聞いたショッピの瞳には一瞬星が浮かんだ。いかにも特殊イベントの合図です！みたいな演出に思わず目をパチリと俺は動かす。

zm「ショッピくん、A！」
shp「ゾムさん！A預かっといてください！」

ポイっ。ゾムが近寄ってくるタイミングで俺の体が宙に浮いた。
どうやら投げられたらしい。すぐさまゾムがキャッチする。受け止められる衝撃の後に目をひらけば、投げた彼は既にコピーのもとへボードを走らせていた。

「っ……！ショッピ！」

まさかという予感と、普通に外した時にショッピが怪我をしかねない不安が混ざり合い、演技を忘れて声を張る。

shp「______。」

うわ、それはズルい。

彼は何も言わずにこちらへ笑みを見せた。
確か、本来なら主人公であるルナへの好感度ゲージが100を越えなければ見れない表情の１つ。
俺が見れるとは全くとして思ってなかった笑みを彼は見せた。

(そんな…)

悪役ポジで、しかも心と身体の性別がズレていたから揃えるために男として転生して、破滅を避けるため教師まで利用するくらいなのに。

(こんな綺麗な感情を抱かせるなんて。ほんとにズルいじゃないか…！)

shp「チーノへの危害だけでなく、俺の大切な人への様々な行為……。

_________その罪、重いっすよ」

ショッピの周りに紫の星々が現れる。
星々は彼を囲むように広がって、やがて中心にいる彼へ集まっていく。

キラン。眩しい紫の光の後、次に俺の視界に入ったショッピは服装が変わっていた。それだけではない、彼の体内の魔力保持量もステータスも…全てが大幅に変わっている。

…なるほど、あの演出はこれに繋がっていたのか。

イロニー・ショッピが第一段階へと覚醒しました。