恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ Ⅲ【男主】 (ページ17)

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次の日の深夜3時。現在、女子寮の裏で張り込み中である。ここにあんぱんと牛乳があれば、刑事らしさがあったのだが…まぁないものは仕方ない。

md『Aさん、来たよ』
『了解』
md『頑張ってね』

ここら一帯の監視を頼んでいた彼からの連絡と同時に、目的地へ駆けつける。
そしてそのまま…

「おりゃっ」

窓ガラスを蹴破った。

生徒「たっ……助けて…」
執行人「……」

生徒をベッド端まで追い詰めている執行人代理と、震えて縮こまっている女子生徒。
外からの逆光でゼペル・Aだと気づいてないのか、絞り出したような声で助けを求めてくる。

「俺を犯人に仕立て上げやがったくせして助けて…だけか?"助けてくださいお願いします"でしょう」
執行人「……その気がないなら、代償をもらって帰りたいのだけど」

執行人は俺が大胆な登場をしたのにも関わらず即座に助けようとしないからか、呆れてると言った口調で俺をはらおうとする。

「まぁまぁ、そんなふうに言わないでくださいよ」

当然、この生徒を助ける気など微塵もないのだが、これは必要な工程であるため仕方がない。

「そろそろかな」

ドアへと視線を向けたタイミングで、ドタバタと廊下から人の声が聞こえてきた。

警備「おい！こっちの部屋だぞ！」
警備「中に生徒がいる！気をつけろ！」

バタバタと複数の足音が慌ただしく近づく。そして寮内に鳴り響く警報。

執行人「まさか」
「そのまさかですよ」

助ける意思がないのに騒音を立てるなんて事、人を呼ぶ以外に目的はないだろう。やっと気づいたらしい執行人は目を開いた。

md『教師が来るまで2分』
『おけ』

昨日のように執行人が俺を突き飛ばして外へと飛び出す。逃げ出すことは想定通り、彼女を追いかける前に…

「おいガキ」
生徒「ヒィ！？…こ、こないで…！」

怯えた表情の横に足裏を壁に当てる。…これが所謂、足ドンってやつなのだろうか?

「警備員と教師が来たら全て話せよ。それとチーノに振られたかなんだか知らんが、ことの善悪くらいそのチンケな脳みそで理解できるようにしとけ」

「わかったか？」

生徒「わかった！わかりましたから…！」

許しを乞うように何度も頷く様を見届けてから、ジャリジャリとガラスを踏みしめながらベランダへと移動する。

「あ、それと」

「俺とチーノに対しての盛大な謝罪、楽しみにしてるな？？」

悪役令息、渾身のわっるい笑みを浮かべた。