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声の主は一度俺を誘拐し、色々あって今は主人となった俺の命で学院に生徒として紛れ込んでいる魔物アンだった。
『アン、久しぶり。学院生活楽しんでる?』
An『エエもちロン!ルナ様との接触にも成功しオトモダチィになり、今は応援ポジになってご命令通りに進んでますワ〜!』
思った以上の有能ぶりにおぉ…と感心の声を漏らす。ゲーム内でも存在していた、フラワーフェス後に登場するルートや育成のヒントをくれるサポートキャラ。彼女は実際にその位置に収まったようだ。
An『ひどいんですヨぉ！皆サマご主人様が執行人代理と思ってしまっておりマス！しかもショッピ様とロボロ様は全然ルナ様達と交流しなくなりましタ！』
『え、俺ってことになってるんだ。…とりあえず、アンはそのまま学院生活楽しんで』
An『ハイ！メチャメチャエンジョイします!あ、授業当てられたので落ちマス』
前世で使っていた通話アプリみたいな終わり方でアンからのテレパシーが切れた。
その直後。前方の空間がぐわりと揺れるように見えた。
「あれは」
目を凝らして見てみると、ゾムが被っていた布と同じものを被った誰かが飛行魔法で空を飛んでいた。当然、こんな平日の朝なのだからゾムではない。
この時間帯にこんな事する奴といえば…。
「執行人か」
流すまいとフェス時の姿へと変えてスケボーをかっ飛ばして空間の揺れを追いかける。
執行人「…!」
「なに…？」
相手は俺が追跡していることに何故か気づいたようで移動スピードを上げてきた。
「風よ」
突風を巻き起こし動きを鈍らせる。
執行人「___⁉︎」
光属性の魔法弾が飛んでくる。
…執行人から。
「まじか」
苦笑いを零しつつ、絶対に攻撃を受けれなくなった危機感に汗が出る。
やっば、どしよ。
「なーんていうと思ったか」
背後に魔法陣を拵え、右手を銃の形にして狙いを定める。
「闇と光以外の元素を撃てばいいだけだろ」
発射、その一言で6属性の魔法弾が執行人めがけて飛んでいく。同時に多属性の球が飛べばいくら執行人と言えど対応が難しくなるようだ。
執行人「…！」
「気付くのがおせーよ」
背後に周り、勢いよく魔道具の布を引き剥がした。
「…へぇ」
先に行っておくがルナではない。まぁ誰もがわかっている事だろうが。
その顔を穴が開くほどまで見つめて人相を覚えていれば、勢いよく執行人に突き飛ばされる。そしてそのまま彼女は俺の姿になって逃げていった。
「隠れる場所探すか」
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年10月9日 16時
