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「いてて」
図書館前。
着地と同時に足の痛みがぴきりと走り、思わず声が出た。
それに血管が切れたところも服が擦れて痛いし魔力不足で身体はだるいし…ほんと最悪なイベントだ。
しかし休む暇などなく。図書館の裏口から入って荷物を回収せねば。誰もいないであろうガチャリと開けて読書スペースへ歩く。
zm「おーやっとき……って俺の仕事時よりひどいなそれ」
「なぜいるんですか」
手をひらひら振って俺の有様を軽く労うのは、荷物が置いてある座席に座っているゾム…と、隣に置いてある獲得済みの印がついた大量の卵たち。
zm「これ、二日間のお礼」
「なるほど。それはどう……」
痛みで言葉が詰まる。その直後、彼から回復魔法がかけられた。
zm「ひっどい捻挫やな。治しきれんかも」
「他の傷が治るだけありがたいです。しばらく人に治してもらえなそうなんで」
何したん？ゾムはまるで俺がやらかした様な含みを持って聞いてくる。
「手を借してくれるなら話します」
zm「報酬次第」
「今後貴方のメイク担当になりましょう。
あと貴方の仕事の…内容次第でサポートします。回復魔法も5種までなら使えますし」
ここで説明。治癒魔法と回復魔法の違いについて。
治癒魔法は回復魔法の上位互換であり光属性に位置しており、当然ながら俺に治癒魔法は効かない。
回復魔法は一般魔法に属しており、第7種まで存在する。1番低くて擦り傷を瘡蓋に。1番高くて複雑骨折の完治や毒や麻痺などの状態異常を完全に除去可能である。
zm「前に言ってたやん。俺の仕事は手伝わないんじゃ?」
「前言撤回ってやつです」
それくらいこっちは厄介なことになってるんでね。全く困ったものだとでも一蹴するような笑みで、お手上げですと手をひらひらさせる。
「どうしますか?まぁすぐに誤情報とはいえ知ることになるでしょうし、今でなくても…」
zm「飯」
特に問題はない、そういうが先に彼は要求を提示した。
zm「ヒトランから飯がうまいって聞いた。あの報酬に追加で俺にも作ってや。…クッキーもうまかったし」
なんて可愛らしい追加の報酬条件だ。貴族社会ゆえに忘れがちだけど、まだまだ子どもの年齢だった。
これを少し恥ずかしながら言う年相応な姿に思わず口角が緩んだ。
「いくらでも作りますよ。…交渉成立で」
zm「うん、よろしく」
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年10月9日 16時
