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A視点
ふわふわとした微睡み。
まだ眠っていたい気もする。でもなんか起きないとダメな気もしなくもない。
そっと目を開き視界だけぐるりと回す。壁の色や置いてあるものからしてミドリの講師室だとわかった。
(…キューブで吸い込んで…そのあと……)
記憶がない。
起き上がると頭の中を揺さぶられているような感覚。思わず頭を片手で押さえる。
どことなく首も痛い気がしながら思い出そうと頑張っていれば、ガチャリと後ろからドアの開く音がした。
re「あ、れ…ゼペルさん、ぇえと…起きたんだね」
「…レウ先生」
振り返ると湯気のたつマグカップをお盆に乗せて持つレウクラウドがいた。
しかしいつものさばさばとした雰囲気と違い何かに怯えているような、ボロボロと溢れそうになっており、顔色も全く良くない。
(それに…なんだあの瞳のドロドロ加減は)
一度でも突いたら壊れて元に戻らなくなるような闇に飲まれかけている、という表現が正しいだろう。
「その、ミドリ先生は…」
re「さっきの騒動の…報告、に行ったよ」
言葉の紡ぎ方がぎこちない。
これは闇属性うんぬんより、心理的な面で問題が起きているのではないだろうか。
(少し話してみたほうがよさそうだ)
「あの、隣座っていただけませんか?」
re「…いいよ」
お盆をテーブルに置いてから、レウクラウドは隣に座った。お盆を置く時点から手が震えており、触ってからも袖をぎゅっと握り震えを隠していた。
(こんな時といえば、、、まぁ定番だけど)
「レウせんせ」
優しく声をかけ、溢れそうになっているものを掬い上げるようにそっと抱きしめる。
すると震えは残っているが、レウクラウドも背中に腕を回してきた。
「大丈夫、ですよ」
突っ張っていた糸が切れたのだろう。彼は泣き出した。
まるで子どもみたいに、何か怖い事があったかのように。
(…ミドリに後で聞くか?いやアイツもこんなになってたら聞けるとかの話じゃねぇな)
頼ってよと言っていたコンタミは論外であるため、これはミドリとレウクラウドから少しずつ聞いていくしかないかもしれない。
re「ｸﾞｽ……A、さん…」
「ん、どうしました〜」
re「もう少し、このままでも……いい…?」
「もちろん。あ、でも…」
レウクラウドの瞳を見て、俺はパチリとウインクをしながら言った。
「飲み物が冷める前には、ね?」
re「…ありがとう」
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年10月9日 16時
