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ラダオくんは逃げようとした生徒には興味をなくしたのか、山に残った未だ気絶している生徒達へ視線を向けている。
co「あ、来そうだね。3人とも端までダーッシュ！」
コンちゃんは笑顔で俺たちに警告を流した。
kyo「あいつなんでいつもギリギリで言うねん…！」
俺たち3人は即座に身体の向きを転換、足を前に出す。
闘技場の中でラダオくんから1番遠いところまで逃げて、外にバレないよう闘技場全体へ結界を張る。
ra「邪魔になるならもう要らないよ」
黒く淀んだ魔力がらだおくんから溢れ出てくる。
md(怖い！！！！)
震えが止まらずその場にしゃがみ込んで帽子をギュッと掴む。
怒った時や誰かを躾ける時に溢れるラダオくんの魔力は、彼に闇属性の力を流し込まれた俺たちにとっては"恐怖"となる。
首を絞められているような苦しさと背筋に走る悍ましい何か……そして心の中をぐちゃぐちゃに荒らされているような感覚。
俺が完全にAさんの元へ行けない理由だ。未だに1人でこれを受けた時のトラウマが枷になっている。
kyo「…」
re「嫌だ……ぃやだ…」
Aさんを守るように抱きしめるキョーさんと怯え蹲ったレウさん。俺たちにも時おり記憶操作の魔法はさまざまな理由でかけられるが、Aさんの時ほど完全にはかけられない。
そのため何かをキーとしてフラッシュバックしてしまうのだ。きっと彼はトラウマを思い出してしまったのだろう。
co「おぉ〜いつもより怒ってるね!」
楽しそうにしてるコンちゃんは、興奮のあまり頬に鱗を見せていた。
co「あちゃ〜レウさん壊れかけかな。みっどーは2回ぶりに平気そうだぁ〜。ねぇねぇ今回凄いよね」
声を出せるほどの状態ではないので頷きだけする。
co「喋れはしないか。俺ら全員が居合わせた前2回といい、Aさんのことになるとほんと制御できないんだね〜。ま、見てて楽しいからいいけど」
md(楽しくなんてない…)
co「あ、そろそろだよみっどー。アレが来る」
悪魔みたいな笑みを浮かべるコンちゃん。
目を閉じて、少しでも聞き取れる音を減らすために耳を塞いぐ。
魔力の衝撃波、肉のつぶれる音、生き残ってしまった側の生徒たちの悲鳴。
全てがおさまってからそっと前を見る。
そこには沢山の赤い彼岸花が不気味なほどに咲いていた。
ra「……ガハ」
くるり、こちらを向く。
コンちゃんを除く3人同時に肩が揺れる。
ra「片付けもろもろ頼む〜」
co「は〜い」
入れ替わるように彼が接近した。
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年10月9日 16時
