恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だⅡ【男主】 (ページ9)

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・ページ9

「それでは、また後日」

にこりと微笑んでから、俺はミドリの部屋を出た。誰もいなくなった教師棟の廊下は不気味なほどに静かで、暖かくなり始めていた季節に似合わないほど涼しかった。

(とりあえず、彼は今後も含めて利用できそう。…しかしあんなにもころっと落ちるとは)

発言が完全に悪役。だが使える存在はとことん利用したいところ。

(…主人公にあれ言われてから俺も変わったかもしれんな。闇落ちまではしてないけど)

一つ目の予定は終わったから、噂を流した真犯人と会って…そのあとは各所にお詫びするためのお菓子作り。

「ふぅ、寝る時間なさそうだな」

ーーー

教師棟をでて、そのまま真の犯人とご対面するべく空を飛ぶ。
ミドリの机にあった学院生徒の名簿から寮の部屋を調べたところ、犯人は名もモザイクで見えないNPCだった。

まるで捨て駒のような役割だけを背負っているみたいで、ページを見つけたときはゲームの闇を垣間見た気がした。

「さてと」

気配消しで女子寮まで到着。警備員が裏へと回るところを見届けてから、寮のベランダに着地して先ほどと同じ様に2種類の結界を貼る。そして窓の鍵開ける。
カチャと小気味のいい音を鳴らし、慎重に部屋の中に入ると生徒が眠っていた。

「おいこら」
「ん……ひ！？なんでここに！？」

ゼペルだと気づいた途端、生徒は恐怖の色を示しながらベットの隅で自分を守る様に丸くなった。

「はぁ。理由なんてわかっているのでは？こちらに散々迷惑をかけていたのですから」

その罪、思いですよ。散々呪いだの魔法がかかるだの言われている瞳でジトリと見つめれば、より生徒の顔色は白くなっていった。

「ご、ごめんなさい…！」
「あのですね、謝罪で済むなら世の中に警備隊や王直属の群は存在しません。タイムリミットは明日の朝…それが過ぎたら…」
「わ、わかりました！だから何もしないで…！」

今は何もしないに決まってきたのだが…。過剰ではないかと言いたくなる反応に

さて、軽い休憩を挟んだ後はお菓子つくりである。
今回は幸運のたまごにて使う予定のアイシングを練習するために、アイシングを使ったカップケーキを作る。

「今回の材料、お願いします」

ゲームの舞台であるこの学院は、家庭科室に大型の魔道冷蔵庫があって欲しいと思った材料すぐに出てくる。
カップケーキに使う材料もこの通り、買い物要らずで揃うのである。

「始めますかー」