ハニーシュガー・ハニー ページ8
さて、夜になって時刻は20時。
予定があるためと言って、ショッピと別れた後に教師棟の1つの講師室へと足を運ぶ。
お母さんの力も借りて改良した気配消しは教師たちでさえも俺がいることに気づかないらしい。
(上々、計画がうまく進行できるってものだ)
目的の講師室へ到着し、前置きのノックなどせず部屋へと侵入する。鍵もゆっくりと閉錠。極め付けに防音効果と魔力遮断の結界をぺたり。
「ほんと、人形みたい」
完全な密室を作り出した俺はソファに座っている人物へ目線を動かす。
「こんばんは。ミドリ先生?」
指を鳴らすとミドリの前で魔法陣が砕け、ソファに座っていた彼がハッとして意識を戻す。
md「ゼペルさん……何する気?」
今の一瞬で俺が何をしたのか気づいたようで、その場で睨みを効かせていた。
ここでさくっと解説すると、門から学院に戻ってきた際、俺はお母さんの子どもたちの力も借りて意図的に発見者をミドリにしていた。
そうとは知らず俺を見つけた彼には連行されている間に暗示魔法をかけておき、20時に違和感を作らず講師室へと来てもらうようにしていた。
結果は大成功。気づかれてないあたり、この魔法の威力が伺える。俺はニコニコと微笑みながら先生の隣に腰掛けた。
「先生次第です。交渉に乗っていただけたら危害は加えません」
md「な、なに」
「先生は今回の件を見た限り生徒たちの名簿管理をしてますよね。1人紛れ込ませていただきたくて」
これからの噂をより回しやすくするには、あの人が動きやすい環境を作っておくのが大事。とすれば学院の生徒として潜り込ませるのが一番と考えた。
md「拒否すると言ったら?」
「へぇ、この状況で断るんですか」
当たり前だという様に彼は依然として俺を睨みつけていた。
(…やはり1生徒からの交渉にこのキャラは応じないか)
キャラクター設定通りといった感じの反応に俺は次の手を取り始める。
「では仕方ありません」
例の魔物の母体から教えてもらった魔法を使い、ミドリを黒い鎖で封じ込める。あちらはガチャガチャと抵抗をしめすが外れる気配はない。
ついでにとかけたステータスを弱体させる魔法がうまく作用している様だ。
md「な、何するつもりなの…？」
「そりゃもちろん。頷かせるだけですよ」
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年9月26日 19時
