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予選を軽く突破した俺は、大急ぎで図書館に戻って身だしなみを整える。
リボンと上着をいつものに変えて、髪型もいつもの長さにして。瞳もオッドアイに戻して席に座って…
「よしこれで大丈……ん」
仕掛けてあった魔法に反応があったようで、通知としてシャランと魔法陣が耳元で音を鳴らした。
ギリギリなタイミングだと思いながらも正面口の方まで見に行く。そこには制服姿のロボロと、なぜか特別衣装のままのゾムがいた。しかも彼の顔色が悪く見える。
何かあったのだろうか。
「とりあえずこちらのソファに」
曖昧な反応しかゾム。試験の時みたいな警戒もないし、よほど弱っているようだった。
「ロボロ、ざっくりとでいいから説明が欲しいかも」
rb「うん。あのな…」
ロボロいわく、実力試験の実戦部分にて優勝したゾムは規定により今回のガチバトルには出れなかったらしい。
そのため来賓や見た目に惹かれてきた奴らと、生徒会のファン達の相手をバトルに参加していない他メンバーで対応していたらしい。
(人疲れというわけか)
一匹狼にはキツすぎる仕事である。この学院に来る客って前世の文化祭とは比にならないほど多いとデータに書いてあった。
ましてや確か人より聴覚や嗅覚も優れてるって手紙に書いてあるということは、香水とか金切声にもやられてるのだろう。
rb「それにゾムの場合は親が軍の人やから、こういう時余計に気を張らなあかんくて」
「なるほど。…ここは静かで刺激臭もありませんからね、ロボロもナイスチョイス」
へへ、とロボロは笑う。
zm「疲れた」
「でしょうね。仮眠取ってきますか?」
zm「ん」
返事をした彼は魔法で私服と思われる緑のパーカーとズボン姿へ変わっていた。程なくしてスヤスヤと寝息を立てている彼。…いや寝るの早。
rb「ありがとな…というかゾムと知り合いやったんや」
「実技試験で話した程度だよ。ロボロはこれから?」
rb「うん。予選は残れたからな。…行けるところまで頑張るつもり」
「応援してる」
ありがと〜と余っている袖をパタパタと揺らす。こういった細かい素振りにも愛嬌があるのはやはり攻略対象、といったところか。
rb「A」
「ん?」
rb「行ってきます!」
とびきりの笑顔を見せ、静かに図書館の扉が閉じられた。
「確かに…今のは可愛かったかも」
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年9月26日 19時
