恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だⅡ【男主】 (ページ3)

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「お母さん、そりゃ災難でしたね」
母体「ワタシという魔物は、ご主人様に付き従いタイと言う気持ちが強いタイプなんデスの。…なのに」

あんまりですわぁ〜と、どこかで聞いたことあるような言い方をしながら泣いている。いつのまにか拘束具も取れていた俺はお母さんの背中をさする。時々ポン、ポン、と優しく叩いてみたりも。

魔物「お母さん、泣かナいデ」
「そうですよ。綺麗なお顔なんですから」
母体「…！ゼペル様ぁ…!」

様？意外な呼ばれ方に思わず彼女へ顔を向ければ、なんかこっちをキラキラした目で見ているではないか。

(まさか主人俺にしたいとか言わないよな…?)

母体「ワタシ、今の噂を振り撒くことヤメテあなたに付き従いマス！」

契約してくだサイ！と爪の長い手で発言の勢いと異なり、陶器を扱うように柔らかく包んでくるお母さん。その感触につい「いいですよ」と言いたくなってしまう。

来年のイベントに関連する学院七不思議とか流したら力も変わらず持てるし、ストーリーの対応に助けてもらったり……結構いいんじゃないか?
あとエッグハントの幸運のたまごとか…

たまご…

「あのたまご作ったのって俺…？」

ルナがたまごの話を聞くのは確かイベの前々日。
エッグハント時に光り輝くたまごを見つけると1年間幸せに過ごせるみたいな話を聞いて、選択した攻略対象と探すのだ。

となれば、主人公が倒したのは幻影かなにか。通りでまだ能力値の低い主人公が倒せたわけだ。今後のイベントでも噂から始まることも含め納得がいく。

手紙では書いてなかったけれど、俺は確実にゲームキャラとしての流れと動きに乗ってらしい。
知らなかったからこそ怖い。今後はより警戒と対策が必要かもしれない。

「厄介だな」
母体「何がデスか?ご主人様」
「いえ、こっちの話ですので。それでですねお母さん、主人ってやつなります」

ほんとですか！？とお母さんはキラキラのおめめでこちらを見てくる。イベントに登場する魔物よりも、ダンゼン人間味が強い気がする。何か魔物ごとにあるのだろうか？
そこも追々は調べる必要がありそう。

俺は改めて母体へと向き直す。

「それで早速広めてほしい噂がありまして。あと頼み事も」
母体「お任せくだサイ!ワタシも子どもタチも、貴方様のタメに働かせていただきマスわ!」

　

こうして、俺と噂を振り撒いていた魔物との間に主従関係が生まれる事となった。