恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ【男主】 (ページ36)

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支度を終え、担任がいる教師部屋へ入る。

「失礼します」

医務室から出たあと、俺は生徒会メンバーの4人と別れ1人担任のいるであろう場所へ来た。
その名も教師棟。この魔法学院では教師棟という職員室とは別にそれぞれ教師ごとに部屋が設けられている。

3階から10階までは教師の講師室があり、それ以降には研究授業の教室もここに収容。

研究授業は簡単に言えばゼミだ。先生たちは多種多様に魔法に関する研究も行っている。そのため、自分の能力や研究したい内容がそのゼミの範囲にあれば選択して学ぶことができる。

3年生から学ぶことができ、論文や研究発表があるのだとか。

ra「A」

背後からの声に反射して振り返る。
そこには静かに微笑みを浮かべる担任がいた。思わず俺は部屋に一歩踏み出し距離をとる。

「…どうも」
ra「やっと起きたんだね。もう大丈夫?」

流れるように彼も部屋へ入りつつ尋ねる。
ええ、と首を縦に振ればあちらは安堵する様に良かったと呟き、そのあと頭に重さが乗っかる。

1拍あけた後、頭を撫でられていることに気がついた。いや急になんだこの人。撫でるのは主人公の頭だけにしとけ。

「先生、急になんですか」
ra「んー？先生特権」
「特権って…一体______」

なんなんだ、と言いかけて声が詰まった。
俺より背の高い担任を見あげた。表情は穏やかな笑みを浮かべている。そのはずなのに、その濁った瞳はなにを見ているのだろう。

先程の警戒は間違いではなかったのだと、身の危険を再確認した。やはりこの教師、ヤバい。

「ほんと、やめっ__！？」

離れようとして下がろうとすれば背中に手を回され逆に距離が近くなる。

ra「嫌がられると俺もっと撫でたくなっちゃうよ」
「何言ってんですか。……ていうか前から思ってましたけど、俺に対して何かあるんです?」

思えば彼は他の生徒と比べて俺への見方が違う…気がしてる。試験の際になんか色々言ってたし。ランク測定の時も俺より喜んでたし。
執事長や親と仲良かっただけでここまで固執しないだろ、ふつう。

笑顔から一向に表情が変わらない彼は、『そうだね』と言って顔がぶつかりそうなほど近づいてきた。
反射的に俺は目をぎゅっと瞑る。

ra「大好きなだけだよ」

耳元で彼はそう囁いた。