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ht「様はつけないで良いよ。あんまり上下関係好きじゃないし」
「ではヒトラン先輩…とか？」
先輩呼びが気に入ったのか、先程も見た暖かい笑顔を目の前で見せてもらうこととなった。つられて自分の口角も上がってくる。
ht「そういえば自分でおにぎり作ってるの？朝ごはん？」
「これはお昼用です。朝は茶漬けを」
茶漬けというワードにヒトランはピコンと反応を示す。
ht「お茶漬け知ってるの?」
「はい」
そっか〜、とどこか嬉しそうな反応をされた。なるほど、この世界にも茶漬けがあるらしい。屋敷の使用人たちは皆が知らなかったが、日本ぽい国に居たヒトランはお茶漬け知っているのか。
ht「俺の周りみんな知らなくて。もしかして東の国に行ったことあるの?」
「いえ、行ったことはないんですけど…作り方は知ってて」
簡単に作れるし美味しよね、と言う先輩は抱えていた野菜を台の上に置いた。春野菜の大収穫祭とでも呼べるほどの量。彼が作業しているという菜園はどれくらい広いんだろうか。
そしてその量をここまで抱えて来れるほど力持ちなこともわかった。
ht「もしよければさ、今度朝ごはん食べに来てもいい?」
「は、はい。お待ちしております」
ht「ふふ、ありがとう。_____、どうかした？」
耳元に手を添えて誰かと会話した後、急に寮へ戻らなければならなくなったと言う。確かこの人生徒会も入ってたし色々と忙しいのだろう。
大丈夫です。と俺なりに笑顔で答えると、彼は笑顔をありがとうと返し調理場を出た。
「意外と安全な関係を踏み出せたのでは？」
思わず俺はガッツポーズを決める。攻略対象とはいえ、エーミールに引き続き良い先輩が増えたことに変わらない。それに朝も来てくれるとなれば色々と情報も得れるかも。そしたら主人公の進捗も知れるし俺も対応がしやすくて…。
「生存確率、上げる事ができる」
ニヤリと口の端を上げながら、おにぎりを詰めた。
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年9月14日 11時
