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次の日、現在の時刻は四時。
いつものように調理場でお茶漬けを作ってお腹を満たす。サラサラと口に入るお米とちょうどいい塩気のある汁は朝にちょうどいい。
この世界の食材は、前世とあまり見た目も味も変わらない。独自の果実なりモンスターの肉がプラスであるくらいで。
しかし豊富な食材に対して料理のレパートリーが圧倒的に乏しい。
多分郷土料理とか、その国独特の料理！みたいなものがないのだろう。屋敷にいた時に味噌汁作って驚かれたくらいだし。
「ごちそうさまでした」
食べ終わったら今度は昼ごはんの支度をする。朝ご飯といい察しているかと思うが、食事は全て自分で用意している。しかも料理人たちにもバレないようにこっそりと。
昨日食べたのは若菜だったし、今日はおかかにしよう。
?「あれ、もう灯ついてる。おはようござ…」
にぎにぎしていて気付かなかった。
調理場に入ってきたのはまさかの主人公の攻略対象『ひだまりの微笑みを持つ優しい鬼』ヒトランラン。
両手に抱え込まれた野菜の籠を見るに、手紙に書いてあった農作業で収穫したものを持ってきたのだろう。
まだ箱に詰めてないし逃げれないなこれ。
ht「ゼペルさん、だよね。2年のヒトランランです」
よろしくね、そう言って彼は優しく微笑んだ。
フレーズ通りのような暖かい笑み(残念ながらマスクのせいで目元のみだが)に思わず警戒心が緩くなる。
まぁ実際、俺としても刀とか東の遠い国から来たという設定に親近感湧いていたし。
(できるなら交流してみたいかも)
「ゼペル・Aです。こちらこそよろしくお願いします」
軽くお辞儀をして頭を上げると視線が一瞬だけ合う。昨日のことやよくわからん噂もあるので、すぐ視線は斜め下に移動させたけれど。
ht「俺の瞳ね、君の片目と同じ赤色なんだ」
「え？」
突然どうした。確かに貴方の瞳は綺麗な赤ですけれど。意図的に逸らしたことを気づかれたのだろうか？ならば察しがいいことで。
ht「お揃いだね」
「え、ええ」
ht「もう1回見たいなー」
ダメかな？と聞いてくるヒトランラン。これが攻略対象の魅力なのか、どうも断りづらい雰囲気かある。
「噂とか気にしないタイプなんですかヒトランラン様って…」
仕方なく視線をヒトランランに向けると、意外と近くまで来られていて思わず驚きの声を上げる。足音出してなかったよねこの人。
癖になってんだ…ってやつなのか？
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年9月14日 11時
