恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ Ⅴ【男主】 (ページ1)

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シークレット…気晴らしお忍び街散歩ページ1

季節は日差しが照りつける夏となり7月へ。

期末試験がジリジリと距離を詰めて来る中でのある日の休日。俺はよく行うお忍びの街散歩に出ていた。
…とある人を連れて。

sha「ほんとに誰も気付かないんやな…」
「覚醒もしたのでより効果が強くなったんです」

喋り声もみんな聞こえてませんよ、とシャオロンに言うと感心する。

なぜ彼をお忍びに巻き込んだのか。
理由は超簡単、気晴らしが彼に必要だと思ったから。

6月にあったダンジョン攻略にて指摘をした後、少しだが自分に素直になって心を気にし始めたシャオロン。
よくわからんが俺ともこっそり話すようになったり、料理を食べに来る時があったりして。

しかしそれでも振る舞いをピタリと止めることはできないため、引き続き無理をしている。
今回は見かねた俺が、自室にこもっていたシャオロンの首根っこを掴み連れてきた。

「あ、ここですここ」
sha「服屋?」

一軒家の童話の絵本で見た事があるような可愛らしくてお洒落な外装。ちな俺のお気に入りの店。
シャオロンの手を引いてスタスタと入る。

カラン、という心地のいい音とともに視界に広がるのは沢山の服、服、服。時折アクセ。

sha「すご…!どれもめっちゃええやんか!」
「そうでしょうそうでしょう。あ、来た来た」

入店した俺たちの元へ可愛い店員さんが小走りでこちらに来る。

Ri「いらっしゃいませ！こんにちは、Aさん！」

ニーアは天使のような笑顔で挨拶をしてくれた。

ここはリリー・ニーアが家族とともに経営している服屋。服だけでなく帽子やアクセサリーも手作りを販売、オーダメイドも可能。

街に住む人々だけでなく、一部の貴族達の間でも御用達の実はすごい有名店である。

sha「この子、確かテクニカの」
Ri「はい！テクニカクラス所属のリリー・ニーアと申します」

風紀委員や何でも屋の活躍で、平和な学院生活を手にしたニーア。

最近では嫌がらせをしていた連中が静かになったことで、服飾について話せる友達もできたと聞いた。
さらに。学院を訪れた有名デザイナーから、素質や服飾魔法の腕前を褒められたそうだ。

なので、前より自信がついて雰囲気も明るくなったのである。
親目線とかではないけど、すごい成長したと思う。