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os「その…」
珍しく口籠る姿。話せるまで待っていると、オスマンは視線を合わせて言った。
os「私の分として作って貰えてたのが嬉しくて」
顔を林檎にしながら口元に手を当てて笑う姿は、きっとゲームでスチル絵として存在していたのではないかというくらいに素敵だった。
真冬だからなのか、それとも体温が急上昇しているのか。やけに自分の吐く息が白く見える。
どうしよう、もしチョコが溶けてしまっていたら。
os「ありがとうございます」
オスマンは可憐な笑みを見せた。
「…!」
手を近づけていないのにも関わらず、瞳の色そっくりの色をしたハートを中心に埋め込まれたピンク色の心ジュエルが左胸に見えた。
見たことのない心ジュエル。しかしそのジュエルは集めてきたものの中でもダントツでキラキラと輝いている。
「ちゃ、チャームマジック。貴方のハートをくださいな」
指輪をつけた手を前に出し咄嗟に唱えてみれば、そのハートは胸元にかけられたチャームに問題なく収まっていく。
収まってすぐ、チャームがキラリと光り装飾が豪華になっていた。
(な、何がどうなってる…?)
頭の中は混乱状態。笑顔にチャームに不思議な心ジュエルに。さっきも散々頭を使っていたというのにまだ脳みそを休ませることができないらしい。
(目が回りそう…)
os「どうかしましたか?」
顔を覗かれて思わず後ろに一歩下がる。やたら鼓動が煩い。
この一年、過去を振り返ればにたような経験は数度ある。しかし今回の鼓動はかつてない程に耳にうるさく聞こえた。
(なんなら大体の割合ってこの人じゃんか)
人格違えど同じ人物、距離感の根本は多分同じなのだ。それを意図的に制御するか、制御なんてせずに本来の距離感で近づくかだけが異なるのだろう。
「いっいえなんでも…。その…も、もう庭園もすぐそこですから、自分は店に戻りますね」
os「あっAさん!」
肩が異常に上がる。普段から名前なんて呼ばれている筈なのにやたら反応してしまう。
os「また夕食時に」
その言葉にカタコトな返事になってしまった事は言うまでもないだろう。
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作者名:あんべべ | 作成日時:2022年12月1日 19時