恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ Ⅺ【男主】 (ページ9)

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〜silent truffe〜ページ9

無事に風紀委員キャラクターたちの意識を戻しジュエルも回収できてから数時間。
現在はまたアンたちの元に戻り昼休憩で幕が閉じられたテントの中でルナの魔法に関する会議が行われていた。

Ri「黒い煤…ですか」

飲み物の入ったマグカップを両手で包むニーアが首を傾げる。隣に座るアンも煤の表現がいまいちわかっていないようでウムムと悩んでいた。

An「…は!そういえば!」
「なに急に」

ピコン!とアンテナを立てるアンは何か閃いたのか近くの紙に絵を描き始めた。

An「ご主人サマ、終業式の日を覚えてイますカ?」
「あぁ、家庭科室の食器幾つか割った時の」
An「余計なことモ思い出サレテますガ…とりあえずソノ時です」

ルナが初めて意味不明な魔法を使ったあのパーティーの後日のこと。朝に突然来たと思えば急な質問をされ、互いに無事を確かめ合えたのだった。

(そのときに話したことといえばルナがとんでもないことしたぞ…くらいじゃなかったっけ)

An「私とポイ…カネゴン様が仰ってイタことですワ!」

2人が言っていたこと、とすれば。

「グラスのお酒が変に見えてたってやつ?」
An「ソレです!」

確かに2人はルナの魔法が込められたお酒を濁っているように見えたと言っていた。
また先程、グチツボとゲンジンはクッキーを食べた途端にミントだのすっきりするだの味よりも先にその感覚を口にしていた。

「つまり、2人が見ていた濁りっていうのは光属性の魔力ってわけじゃなくて…」
Ri「本当に心にくっつく煤だったということですか…⁉︎」

恐らく、と眉を顰めるアン。
これが本当ならルナがやたらと紅茶やコーヒーさらにはお菓子を提供していたことに納得ができる。
煤は量が増えれば増えるほどこびり付いて掃除が大変になる厄介な汚れ。

心と密接な関係性を持つ魔法、二点の繋がりをパイプだとしたら間に煤が詰まったことになる。襲来イベントで生徒たちの能力が低下していたこともこれが要因か。

(…気持ち悪い)

キャラクターたちに煤を流し込まれているなんて、気持ち悪い以外に何の表現があるだろうか。
胃がグツグツと沸騰して胃液が込み上げてきそうな、どろりとした嫌な感覚が体をかけ曲がるような感覚がする。

Ri「Aさん、大丈夫ですか…?」

ニーアの手がそっと俺の手に重なる。するとどうだろう、先ほどまで持っていたあの感覚が瞬間的に消えていった。