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ゾムはハンカチを取り出すと俺の顔面をゴシゴシと拭いてきた。
「ぐぬぅ…」
zm「さっきの仕返し」
驚いて涙が引っ込んでしまった。
おー泣き止んだ、と言って彼は無邪気に笑う。
zm「すぐに受け止めるのは難しいかも知れん。でも、さっきみたいのだけはもうせんといてな?」
「…はい」
頷けばゾムが小指を前に出した。
絡めれば約束の成立。
すると、ぽわ……と淡い黄緑色の光が発生する。
「な、何かししました…?」
zm「いや、魔法も何も使っとらん…」
光が終わる。絡めた指のすぐ上には、キラキラと光る何かの欠片が浮いていた。
神様から貰った手紙には書いていなかった出来事である。なんだろうかこれは。
なぜか湧き出る拒否感を脳内で理解しながらも、ジッと目が離せない。
zm「これ…」
ゾムが触ろうとすると、欠片はシャランと心地いい音を奏で遠くへと飛んで行ってしまった。
慌てて窓から行先を見るとそこには…
「え、月が…」
まだ夜ではないというのに、美しく月が空に佇んでいる。昼間の遠くにあって、透けているようなものとも違う。
夜と同じく……いやそれ以上?
太陽が西へと落ちようとしている中、美しく光る満月が空の真ん中にいた。
方角も季節も、公転やら自転やら全部無視してそこにいた。
欠片はというと、月へと向かい点となり。視認ができないところまで飛んで行ってしまった。
zm「そっか、目覚めたばかりで知らんのか。Aが倒れた日…1週間前から…」
「ちょ、ちょっと待ってください」
1週間?と聞けばせやで、とゾムは返す。
…なんて事だ。明らかに寝過ぎているだろう俺。
手紙よれば3日間で起きて、からのヨーグによるアレだった筈。4日もオーバーした?
そら城に帰ってこいとか言われるよな。
zm「寝過ぎや」
「ほんとに…」
あの日レイブン状態になることができたのも月があったから。……俺が見た時は既に、となるといつから真ん中に固定されていたんだろう。
こちらはマジでわからない。ルナが犯人を倒すイベントより先に事件の推理をしなければ判明が難しい。
「因みにそれって」
zm「ほんますぐ犯人にしたがるよなみんな」
これも俺が犯人の最有力候補らしい。
全く、なんでもかんでも俺のせいにしないで欲しい。
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年12月1日 18時
