恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ Ⅳ【男主】 (ページ31)

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【小噺】闇からのプレゼントページ31

ra「A」

久々の1人な放課後。
のんびりと家庭科室へ夕食作りに行こうと向かっていると後ろから声が。

「…先生」

顔色×
元気×
体調×××

まだ完全な回復はしていないのか笑顔もどこか無理やりな感じ。壁に手を当てていることもあるし歩くのキツイ…?

ra「…A、イヤリング片方どうしたの?」
「あ…パーティーで魔獣と戦ってたら壊されちゃって」

今のコイツに実際の事を言ったら病みかねないので、それっぽい嘘を言っておく。壊された、と言ったが彼にはショックが大きかったようで瞳が反射で光った。

「と、とりあえず一旦家庭科室行きましょう。先生にスープかなんか作るんで」

はい、と支え用に手を前に出す。俺の発言と行動が意外だったのか、少し戸惑いを見せてから弱い力で握ってきた。

ーーー

少ない会話をしつつ、無難にミネストローネを作りカップへと注ぐ。あっちは気づかないだろうが食べやすいように野菜も小さく切ってある。

(気配りが得意で良かった)

我ながら前世で培った力に拍手した。

「先生、美味しいですか?」
ra「うん…おいしい。それにあったかい」

今までのイメージのせいで違和感がとんでもなくある。そんな笑顔できるとは聞いてない。

「…先生、イヤリングの件なんですけど」

秘宝クエストでこっそり貰っておいたチーノが気絶しながら生み出した魔鉱石を魔導ポケットから取り出す。

その石に闇属性の魔力を混ぜつつ、俺が貰ったものと同じ形のイヤリングを作る。ついでに魔力の流れを安定化させる魔法陣をこっそり刻めば完成。

「詫びと言ってはなんですけど…お揃いのイヤリング、つけてもらえませんか?」
ra「いいの?嫌じゃないの?付けていいの?」
「そんなにいうなら「や、やだつける！」…はいどうぞ」

メンヘラ成分たっぷりな彼はイヤリングを大切そうに受け取るとすぐに付けた。そんなに嬉しかったのか…。

ra「えへへー。似合ってる?」
「もちろん。貴方が俺にくれたイヤリングと、色だけが違うものなんですから」

はにかむラッダァは闇を忘れるほど温かさを持っていて、俺も珍しく気を緩めた状態で夕食を取ることができた。