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五十六冊【虹村修造】 ページ6

部活が終わった後、結局断りきれずに来てしまったマジバーガー。

そこで事件は起こった。



「ブッ、フッ…!ゲホッ…ッ!」

「もういっそのこと一思いに笑ってください」

「やっ、わり…!今、おさまるッから…!!」

「…」



マジバの店内で向かい合って座る虹村主将は、さっきから笑いを堪えようと必死の様子。

原因は、私が起こした些細な事件だ。



「…ふぅ。なんとかおさまってきた」

「それは良かったです」

「いやぁ、俺生で見たの初めてだわ。『スマイルをください、100円で』って真顔で言う奴…ブハッ!!」



「金払ってでも見たかったのかよ!」と再び笑い始めた虹村主将。

彼の言った通り、私はさっき注文をする際店員さんに言ってしまった。

「スマイルをください、100円で」、と。

マジバに来たのは今回が初めてで、少し混乱していたのだと思う。

それに加え、店員さんが無愛想。

無表情な自分を棚に上げ、思わず…スマイルを要求してしまった。

その甲斐あってか、店員さんは今もなおレジで爆笑中だ。

後ろで作業をしていた他の店員さんや、虹村主将も流れ弾をくらってしまったようだが。



「…はぁ。お前がいると腹筋がやべぇ」

「ありがとうございます」

「褒めてねーわ。つか、お前マジバ初めてだったんだな。学校帰り小腹空いたりしねーのか?」

「はい。私の栄養分はラノベです」

「ブッ!」



また笑った。



「あー、今日めちゃくちゃ笑った。一生分笑った」

「すごいですね」

「…こんなに笑ったの、久しぶりだわ」



そう言って、虹村主将は私から窓に視線を移す。

視線の先にあるのは少し薄暗い空と、行き交う車に道路。

でも、彼が見ているのはそういうものではないような気がした。

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マカロン食べたい(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!!これからも楽しみにしています! (2020年1月21日 23時) (レス) id: 048debb475 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - めっちゃ久しぶりだから更新してくれて嬉しいです! (2020年1月21日 21時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ししざ(プロフ) - 続編書いてくださって有難うございます。更新がんばって下さい! (2020年1月21日 21時) (レス) id: d79b43c1be (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - ミリイ(灰崎信者)さん» うーん…もう出しちゃったから出して欲しくないはもう無理だと思う。だけど、出さないで欲しいならオブラートに包んで、敬語で言うべきだと思います。 (2019年9月6日 16時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - この小説に祥吾様出して欲しくない (2019年7月7日 23時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のんびりん | 作成日時:2018年8月20日 18時

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