九十九冊 ページ49
「うぐっ、えぐ…さとぉぉぉおおお」
「うぅっ…ヒック、Aちゃぁぁぁあん」
職員室だというのに、目の前で全力で泣いている田中先生と、たまたまノートを提出しにやって来ていた望月先輩に思わずため息が出そうになる。
私が転校すると伝えたくらいで、そんな大袈裟な。
「佐藤、先生は、佐藤のこと忘れないからなぁ！！」
「俺もぉ！結局恋は実らなかったけど、新しい恋見つかるまでにすごい時間かかりそうううう！だってそれくらい君が好きぃいいい！」
「先生、それは無理だと思います。
先輩ありがとうございます。はやく新しい恋見つけてください」
「「反応冷たい！！」」
忘れないを連呼する彼らをなんとか落ち着かせ、職員室を出る。
手続きが完了するまでまだ時間はあるが、家の荷物まとめもあるため実質今日が登校最終日だ。
お世話になった人にはちゃんと挨拶をして回らなくては。
一年も過ごしていないこの学校での思い出を振り返ってみる。
でも、どう頑張っても思い浮かぶのはバスケ部の先輩方の顔だった。
面倒な予感がするが、何も言わず姿を消すのは失礼なのでは？
私に別れの挨拶をされても「あ、はいさいならー」という反応しか出来ないだろうが。
…うーん。
「ここはとけいも風に私は進化する機械人形なので違う場所で進化しますアディオスッでいくべきか」
「いったらどうなるか具体的な例を見せてやるよ。な、灰崎？」
「…こ、うなる」
背後から突然声が聞こえて、振り向く。
そこには満面の笑みの虹村さんと、顔がボコボコな灰崎先輩がいた、
…バイオレンス。
＊＊＊
「コーチからお前が転校するって聞いてな。こっちから挨拶にこさせていただきました」
「いててててそれはありがとうございます」
「なんで俺までいってぇえええ！！」
学校の屋上で、灰崎先輩と仲良く虹村さんにアイアンクローを決められている私達はギャグ要素しかないだろう。
本気で痛いが。
「だってこうしてねぇと灰崎はさっきみてぇに俺の顔見た瞬間逃げるし、佐藤は…あー、ついで」
「あまりにも酷ッ」
「わかった！逃げないから！マジ勘弁ッス！」
灰崎先輩の言葉に、虹村さんは「よし」と笑顔で私達の顔から手を離す。
おそらく手形がついているであろう部分を労るようにさすった。
「ありがとな、佐藤」
「…へ」
頭上から聞こえてきた感謝の言葉。
それは紛れもない虹村さんの声で。
思わず間抜けな声が出た。
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マカロン食べたい(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます！！これからも楽しみにしています！ (2020年1月21日 23時) (
レス) id: 048debb475 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - めっちゃ久しぶりだから更新してくれて嬉しいです！ (2020年1月21日 21時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ししざ(プロフ) - 続編書いてくださって有難うございます。更新がんばって下さい！ (2020年1月21日 21時) (レス) id: d79b43c1be (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - ミリイ(灰崎信者)さん» うーん…もう出しちゃったから出して欲しくないはもう無理だと思う。だけど、出さないで欲しいならオブラートに包んで、敬語で言うべきだと思います。 (2019年9月6日 16時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - この小説に祥吾様出して欲しくない (2019年7月7日 23時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のんびりん | 作成日時：2018年8月20日 18時
