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八十冊 ページ30

旧館の屋上。

そこから見える夕焼けに、思わず目を細めた。



「もしかしてさー、嫌われてるのかな。あの子に」



紫原の言葉に、赤司と桃井を除く全員が反応する。

全員、嫌われているのかもしれないと思ってしまうような事に心当たりがあるようだ。



「あ、そう言えば。みどちんはさっき俺に何言いかけたの?」

「お前はいちいち話を変えすぎなのだよ…別に、大した事じゃない」

「なにそれ。気になるじゃん」

「…ただ、お前の佐藤を見る目が少し、俺に似て…」

「似て?」

「っ、なんでもないのだよ!」



叫んで、紫原から視線を逸らす緑間。

その様子を見て、赤司は小さく笑った。



「どうやら、全員落ちたようだね」

「本当、Aちゃんはすごいな。単純な青峰くんやきーちゃんならともかく、赤司くん達まで」

「んだとさつき!」

「桃っち酷い!!」



ギャーギャーと騒ぎ出す青峰と黄瀬。

そんな2人を無視しつつ、黒子は小さく呟いた。



「でも、まったく距離を縮められる気がしませんよね」

「うっ…確かに。むしろ、最近嫌われてる気するし。どうすればいいんスか俺…」

「なんだ、お前らは佐藤の教室に行っていないのか」

「嘘、見てないの!?」



赤司と桃井の言葉に、全員が首を傾げた。

この反応を予想していた赤司は、笑いながら仲間達から視線を外し夕焼けを見る。

何もかもを飲み込んでしまいそうな、赤色。

彼女のイメージカラーとは正反対の色。



「桃井、こいつらの自業自得だ。秘密にしておこう」

「そうだね。テツくんは可哀想だけど、見に行かなかったみんなが悪いし」

「えぇ!なんスかそれ!」

「おい!気になるだろーが!」

「赤司くん、桃井さん…」

「お前ら、うるさいのだよ!青峰、俺のたこ焼きの上に野菜を置くな!」

「あー、焼きそば美味しい」



賑やかな旧館。

帝光祭終了のアナウンスが、後にキセキの世代と呼ばれる彼らによってかき消された。

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マカロン食べたい(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!!これからも楽しみにしています! (2020年1月21日 23時) (レス) id: 048debb475 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - めっちゃ久しぶりだから更新してくれて嬉しいです! (2020年1月21日 21時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ししざ(プロフ) - 続編書いてくださって有難うございます。更新がんばって下さい! (2020年1月21日 21時) (レス) id: d79b43c1be (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - ミリイ(灰崎信者)さん» うーん…もう出しちゃったから出して欲しくないはもう無理だと思う。だけど、出さないで欲しいならオブラートに包んで、敬語で言うべきだと思います。 (2019年9月6日 16時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - この小説に祥吾様出して欲しくない (2019年7月7日 23時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のんびりん | 作成日時:2018年8月20日 18時

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