七十六冊【紫原敦】 ページ26
「本当にありがとー」
ニコニコと笑いながら、中庭のベンチでお菓子を食べる紫原先輩。
私は自販機で買ったお茶パックのストローを咥えながら、「お役に立てたのなら光栄です」と返事を返した。
「まさか本当に取れちゃうなんてね。幻のお菓子」
「そうですね」
なんと、私は幻のお菓子、『幻チップス』を掴み取ることに成功してしまったのだ。
想像以上にお菓子が全部大きくて、大量に取ることは無理と判断。
幻のお菓子のことも諦めて、一番取りやすいジャガイモチップスの袋を指の間に４つなんとか挟め、それを取り出す。
そのうちの３つは普通のジャガイモチップスだったが、もう１つはなんの奇跡か幻のお菓子だった…ということだ。
みんな幻のお菓子と聞き珍しい形を想像していたため、ありふれたパッケージの物はスルーしていたらしい。
幻チップスを見た時の紫原先輩は、すごかった。
何故か私をその場で高い高いし始め、グルグルと回り出した挙句、ここに来る途中自販機でお茶を奢ってくれたのだ。
「本当にお菓子いらないのー？」
「はい。あまりお菓子は食べないので」
「そっか。食堂のご飯も全然食べなかったもんねー」
むしゃむしゃパクパクモグモグ。
ひたすら食べ続ける先輩。
このペースで行くと、大量にあるお菓子も底を尽きるだろう。
なんとなく吸引力のすごい掃除機を思い浮かべていると、紫原先輩がいきなり立ち上がった。
「ちょっと喉乾いたからジュース買ってくる〜。待ってて」
「はい」
お菓子の入った袋をそっと丁寧にベンチに置き、校舎に向かう先輩。
後ろ姿が完全に見えなくなったところで、小さく息を吐く。
やっぱり、キラキラした人だ。
とても眩しく、住む世界が違うのだとおこがましくも隣に立つたび実感させられる。
ふと、昨日の赤司先輩との会話を思い出した。
あんなにもキラキラした人たちと、こんなオタクが同じ部活に入っているなんて、ファンの人達は心底気に食わないだろう。
お茶パックのストローをズズズ…とすする。
飲み終わったところで、向かいから複数人の足音が聞こえた。
こんなところに、人？
どんな物好きだろう。
不思議に思い、顔を上げる。
複数の足音を発していた人達は、意外にも至近距離にいた。
「ちょっとお話しない？佐藤さん」
「…はい」
赤司先輩はエスパー。
目の前に立ち塞がる女子を見て、そう確信した瞬間だった。
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マカロン食べたい(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます！！これからも楽しみにしています！ (2020年1月21日 23時) (
レス) id: 048debb475 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - めっちゃ久しぶりだから更新してくれて嬉しいです！ (2020年1月21日 21時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ししざ(プロフ) - 続編書いてくださって有難うございます。更新がんばって下さい！ (2020年1月21日 21時) (レス) id: d79b43c1be (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - ミリイ(灰崎信者)さん» うーん…もう出しちゃったから出して欲しくないはもう無理だと思う。だけど、出さないで欲しいならオブラートに包んで、敬語で言うべきだと思います。 (2019年9月6日 16時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - この小説に祥吾様出して欲しくない (2019年7月7日 23時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のんびりん | 作成日時：2018年8月20日 18時
