七十一冊 ページ21
突然だが、私はある教師に目をつけられている。
きっかけは思いがけないものだった。
入学して間もない頃、数ある空き教室のうち使われていない場所を見つけた。
そこは長い間掃除されていなかったのか、埃まみれで。
部活の掃除のおかげで特に雑巾かけにハマっていた私は我慢しきれず、勝手に掃除をしてしまったのだ。
それを、ある教師に見られてしまった。
「佐藤。どんなに辛いことがあろうと、友人と励まし合って…」
「…」
今、私の目の前で青春ライフの素晴らしさを熱演している、田中先生にだ。
今では珍しい超がつくほどの熱血教師であり、私の担任でもある。
熱血すぎて生徒からは嫌われている…ということもなく、若くてイケメンというブランドが付いている田中先生は学年問わず人気者だ。
そんな先生の熱血導火線に火をつけたのが、私らしい。
…先生の紹介はこれくらいにして。
とにかく、そんな出来事があり今ではこまめに職員室に呼ばれ、このようにひたすら語りかけられる。
「先生はな、お前が空き教室の掃除をしてる姿を見て感動したんだ。それと同時に思った…お前は誰よりも優しい子だと！皆それに気づいてないだけだ！お前には幸せになって欲しい…どうか、友達を作ってくれ！」
「はあ…なるほど」
私の幸せを願うのなら、放っておいてくれないだろうか。
「わかってくれたか！」
「はい、わかりました」
「…せめてもう少し感情込めて言ってくれよ。嘘丸出しじゃないか」
「はい、わかりました」
「さと…」
「はい、わかりました」
「佐藤ぅぅ！なんでだぁぁああ！！」
私の肩を掴み、ガクンガクンと揺らす田中先生。
そろそろ訴えようか。
いや、うちの母とこの教師が会えば、間違いなく意気投合してしまう。
適当に流すしか逃げ道がない。
「た、田中先生先生、もう許してあげてください…」
他のクラスの教師が、顔を引きつらせながら田中先生を止めようとしてくれる。
…が。
「ダメです！佐藤は、佐藤はいい子なんです！！彼女は友達と笑顔で青春するべきなんです！！」
「アッ、ハイ」
田中先生の迫力に負けたのか、顔を引きつらせたまま自分の席に戻ってしまった。
そこの教師、それでも男か。
誰かこの熱血教師を止めてくれ。
そろそろ頭が痛くなってきた。
そんな私の願いが届いたのだろうか。
勇敢にも、熱の入った彼に声をかける人間が現れた。
「お話中失礼します。田中先生」
…赤司先輩。
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マカロン食べたい(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます！！これからも楽しみにしています！ (2020年1月21日 23時) (
レス) id: 048debb475 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - めっちゃ久しぶりだから更新してくれて嬉しいです！ (2020年1月21日 21時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ししざ(プロフ) - 続編書いてくださって有難うございます。更新がんばって下さい！ (2020年1月21日 21時) (レス) id: d79b43c1be (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - ミリイ(灰崎信者)さん» うーん…もう出しちゃったから出して欲しくないはもう無理だと思う。だけど、出さないで欲しいならオブラートに包んで、敬語で言うべきだと思います。 (2019年9月6日 16時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - この小説に祥吾様出して欲しくない (2019年7月7日 23時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のんびりん | 作成日時：2018年8月20日 18時
