六十九冊 ページ19
「おっまつっりおっまつっりフンフフ〜ン」
いつも以上にニコニコと顔を緩ませながら、自作の歌を歌う桃井先輩。
彼女は知っているだろうか。
ここが図書室だということを。
「桃井さん、図書室ではお静かに。他に生徒がいないとはいえ、マナーですから。…すいません」
「う、ううん!ごめんね!嬉しくって!」
「さつき、お前無駄に声デケェんだから歌うなよな」
「で、でかくないもん!!」
「いや、デカいっス」
「お前ら、真面目にやれ」
申し訳なさそうに眉を下げる黒子先輩に、桃井先輩は必死に言葉を返す。
今、図書室にいるのは図書委員の私に黒子先輩、上機嫌の桃井先輩、そして青峰先輩と黄瀬先輩、緑間先輩だ。
「(3)現実。これを英語にするのだよ」
「…ドリーム、じゃね?」
「あ、それっスよ!さすが青峰っち!」
ドヤ顔をする青峰先輩の言葉に、黄瀬先輩は顔を輝かせプリントに『doriーmu』と書き込む。
滅茶苦茶である。
「いや、なんでそうなったのだよ!?」
「何って…答え書いただけだろ」
「ドリームの意味は夢!全く違う…!しかも『doriーmu』ってなんだ!正しくは『dream』だ!お前らは夢じゃなく現実を見るのだよ!」
「はぁ?」
「じゃあ現実ってなんなんスか」
「〜ッ!!!」
「だ、大ちゃん、きーちゃん!頭大丈夫!?」
声にならない声を出す緑間先輩。
本気で2人を心配する桃井先輩。
2人は『2バカ』と謳われる青峰先輩、黄瀬先輩がしっかり宿題をしたかの確認と、手伝いを赤司先輩に頼まれたらしいが…正直、同情してしまう。
「あの、僕の記憶が正しければ現実って『reality』だったと…」
「はい。私の記憶にあるのもrealityです」
「…心配ですね」
「そうですね。…黄瀬先輩と青峰先輩は、高校に進学できるのでしょうか」
「まぁあの2人、運動神経だけはいいのでスポーツ推薦でなんとか…」
黒子先輩は、サラッと酷い時がある。
それを今再確認した。
「あ、そういえば」
横の椅子に座る黒子先輩が、こちらに顔を向ける。
貸し出しコーナーに設置された椅子は少し距離が近く、先輩の顔がよく見えた。
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マカロン食べたい(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!!これからも楽しみにしています! (2020年1月21日 23時) (レス) id: 048debb475 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - めっちゃ久しぶりだから更新してくれて嬉しいです! (2020年1月21日 21時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ししざ(プロフ) - 続編書いてくださって有難うございます。更新がんばって下さい! (2020年1月21日 21時) (レス) id: d79b43c1be (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - ミリイ(灰崎信者)さん» うーん…もう出しちゃったから出して欲しくないはもう無理だと思う。だけど、出さないで欲しいならオブラートに包んで、敬語で言うべきだと思います。 (2019年9月6日 16時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - この小説に祥吾様出して欲しくない (2019年7月7日 23時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんびりん | 作成日時:2018年8月20日 18時