検索窓
今日:18 hit、昨日:35 hit、合計:214,313 hit

六十九冊 ページ19

「おっまつっりおっまつっりフンフフ〜ン」



いつも以上にニコニコと顔を緩ませながら、自作の歌を歌う桃井先輩。

彼女は知っているだろうか。

ここが図書室だということを。



「桃井さん、図書室ではお静かに。他に生徒がいないとはいえ、マナーですから。…すいません」

「う、ううん!ごめんね!嬉しくって!」

「さつき、お前無駄に声デケェんだから歌うなよな」

「で、でかくないもん!!」

「いや、デカいっス」

「お前ら、真面目にやれ」



申し訳なさそうに眉を下げる黒子先輩に、桃井先輩は必死に言葉を返す。

今、図書室にいるのは図書委員の私に黒子先輩、上機嫌の桃井先輩、そして青峰先輩と黄瀬先輩、緑間先輩だ。



「(3)現実。これを英語にするのだよ」

「…ドリーム、じゃね?」

「あ、それっスよ!さすが青峰っち!」



ドヤ顔をする青峰先輩の言葉に、黄瀬先輩は顔を輝かせプリントに『doriーmu』と書き込む。

滅茶苦茶である。



「いや、なんでそうなったのだよ!?」

「何って…答え書いただけだろ」

「ドリームの意味は夢!全く違う…!しかも『doriーmu』ってなんだ!正しくは『dream』だ!お前らは夢じゃなく現実を見るのだよ!」

「はぁ?」

「じゃあ現実ってなんなんスか」

「〜ッ!!!」

「だ、大ちゃん、きーちゃん!頭大丈夫!?」



声にならない声を出す緑間先輩。

本気で2人を心配する桃井先輩。

2人は『2バカ』と謳われる青峰先輩、黄瀬先輩がしっかり宿題をしたかの確認と、手伝いを赤司先輩に頼まれたらしいが…正直、同情してしまう。



「あの、僕の記憶が正しければ現実って『reality』だったと…」

「はい。私の記憶にあるのもrealityです」

「…心配ですね」

「そうですね。…黄瀬先輩と青峰先輩は、高校に進学できるのでしょうか」

「まぁあの2人、運動神経だけはいいのでスポーツ推薦でなんとか…」



黒子先輩は、サラッと酷い時がある。

それを今再確認した。



「あ、そういえば」



横の椅子に座る黒子先輩が、こちらに顔を向ける。

貸し出しコーナーに設置された椅子は少し距離が近く、先輩の顔がよく見えた。

七十冊→←六十八冊



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (175 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
449人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

マカロン食べたい(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!!これからも楽しみにしています! (2020年1月21日 23時) (レス) id: 048debb475 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - めっちゃ久しぶりだから更新してくれて嬉しいです! (2020年1月21日 21時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ししざ(プロフ) - 続編書いてくださって有難うございます。更新がんばって下さい! (2020年1月21日 21時) (レス) id: d79b43c1be (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - ミリイ(灰崎信者)さん» うーん…もう出しちゃったから出して欲しくないはもう無理だと思う。だけど、出さないで欲しいならオブラートに包んで、敬語で言うべきだと思います。 (2019年9月6日 16時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - この小説に祥吾様出して欲しくない (2019年7月7日 23時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:のんびりん | 作成日時:2018年8月20日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。