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五十二冊 ページ2

「Aちゃーーん!!」

「グフッ」



背中に衝撃が走って、変な声が出る。

どうやら誰かにタックルをされたらしい。

一軍マネージャーを恨んだ女子の襲撃か、なんで堂々とした攻撃だ。

そう思いながら後ろを見ると、そこにいたのはピンク髪の美少女だった。



「桃井先輩」

「…あぁ!ごめん!右足大丈夫?痛かった!?」

「大丈夫です。痛みはもうほとんどありませんから」

「よかった〜。って、本当に怪我治るの早いね」

「はい。昔から自然治癒力には自信があります」



そう言うと、桃井先輩は安心したようにホッと息を吐く。

心配してくれていたらしい。



「でも無理はダメだよ?完全に治ったってわけじゃないみたいだし」

「はい」

「じゃ、行こうか!」



桃井先輩が、ガシッと勢いよく私の右腕を掴む。

行こうかって…



「あの、どこに…」

「ふふっ」



美女の満面の笑み。

これを見れば、大体の男は一瞬で恋に落ちるだろう。

だが、あいにく私は女。

そして、すでに林檎たんという嫁がいる。

この笑顔には騙されない。



「私ね、先生に呼び出されて職員室に行く最中だったんだよね〜」

「そうだったんですか」

「あと、Aちゃんの事も探してたの。…今なんの時間だと思う?」

「お昼休みだと思います」

「正解!次の問題です。この時間にみんなが必ず取る行動はなんでしょう?」

「…ラノベを読みます」

「それはAちゃんだけかな」

「私はラノベを読みます。今から中庭に行くので、失礼します」

「怪我人が1人でそんなとこ行っちゃダーメ。あそこ人通りが全くないから、何かあったら大変じゃない」

「大丈夫ですから」

「じゃあ答え教えてあげる!」

「いや、あの…」

「正解は〜」



だめだ、聞いてはいけない。

答えがわからないはずなのに、そう思っている自分がいる。

冷や汗が流れそうになる私に笑みを向けながら、桃井先輩は明るく言い放った。



「食堂でした」



過去、無理やり肉を食べさせられたあの悪夢がフラッシュバックした。

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マカロン食べたい(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!!これからも楽しみにしています! (2020年1月21日 23時) (レス) id: 048debb475 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - めっちゃ久しぶりだから更新してくれて嬉しいです! (2020年1月21日 21時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ししざ(プロフ) - 続編書いてくださって有難うございます。更新がんばって下さい! (2020年1月21日 21時) (レス) id: d79b43c1be (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - ミリイ(灰崎信者)さん» うーん…もう出しちゃったから出して欲しくないはもう無理だと思う。だけど、出さないで欲しいならオブラートに包んで、敬語で言うべきだと思います。 (2019年9月6日 16時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - この小説に祥吾様出して欲しくない (2019年7月7日 23時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のんびりん | 作成日時:2018年8月20日 18時

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