２９：必要な隠し事 ページ29
ふと隣を見れば、オサムさんが顔色を青くして色紙を見ていた。
…そうだ、オサムさんは学校の先生だったっけ。自身の職場を象徴するような場所にこんな色紙があれば、嫌な気分にもなるだろう。
「なんだこれは？」
「ユウヤって誰やろか？」
「この中にユウヤなんて人はいないですよね？」
「あ、私のかい…ムグゥ！？」
「え？ユウリちゃんの記憶にもないの？そっかぁ、誰かの知り合いってわけじゃないのかもね♪」
「んぐ！？」
私の言葉を遮ってリンタロウさんが言った。例の如く私の口を塞いで。びっくりしてリンタロウさんを見上げれば「黙ってなよ♪」と小さく言われた。
…また私は失言をするところだったらしい。
い、いや、でも情報共有って意味では言わなくちゃならない事だと思うんだけど…。後から言った方が怪しまれるんじゃ…。
そう思っても、ユキナリさんも私に向かって小さく首を振っていた。これ以上言うな、って事だろう。
…２人が止めるのであれば、言わない方が良いのかもしれない。私１人だったり、私と誰かが隠していれば共謀だと捉えられかねないけれど、３人ならそうならないはずだ。多分きっと。自信はないけれど。
そう納得したところで、リンタロウさんが低い声で呟いた。
「コウくんも言ってたけどさぁ、何でもかんでも安易に喋らない方が良いよ、ユウリちゃん。狼に狙われたいわけじゃ無いんでしょ？」
「っひぃ…！？」
「それとも僕に口を塞いで欲しくてわざと言ってたのかな？塞いであげようか？僕の唇で」
「や、そ、それは、是非ともご遠慮させていただきたいと言いますか、」
「それはそれで酷い答えだけど…もっと先を考えなよ。皆で生きてここを出るんでしょ？」
「………」
「良い子だね♪まあユウリちゃんは僕が護ってあげるから安心しなよ」
私がこれ以上何も言わないと判断したのか、いつもの笑顔でリンタロウさんは言った。
…確かに私、考え無しに行動する事が多いよね…。皆を助けたいって言いながら、具体的に何も考えずに行き当たりばったりだ。これじゃあ多分、ゲームが始まってしまう。守りたい人達を守る事が出来なくなる。
もっと、考えるようにしないと。
ゆっくりと頷くと、リンタロウさんはやっと離してくれた。その代わりまた手を握られたけど。
「それにしても謎ばかりだね…」
リンタロウさんが呟く。
確かに謎しかない。探索したのに謎が深まるなんて…これを本末転倒って言うんだろうか。
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夕霧(プロフ) - 苺デラックスさん» コメントありがとうございます！私の文章でリンタロウの可愛さやかっこよさを表現出来ているか自信がありませんでしたが、そのように言って頂けて本当に嬉しいです。書きたい事が多く遅々とした展開となっていますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2018年7月6日 23時) (
レス) id: 814c479c10 (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - あぁぁぁあー。リンタロウ可愛い！かっこいい！作者さん天才ですよね！？！？更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2018年7月6日 0時) (レス) id: ca55176d45 (このIDを非表示/違反報告)
akasiro814(プロフ) - ご指摘、ありがとうございました。オリジナルフラグを外しました。初めて使用するとはいえ、迷惑をかけてしまってすみません。今後、気をつけていきます。 (2018年7月1日 16時) (レス) id: 814c479c10 (このIDを非表示/違反報告)
@ - オリジナルフラグ外してねー編集画面を隅々までよく読んで (2018年7月1日 14時) (レス) id: da2bf38fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：時雨 | 作成日時：2018年7月1日 14時
