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11:狼の所在 ページ11

重苦しい沈黙が続く。
お互いにチラチラと表情を伺いつつも、誰も何も言おうとはしなかった。
それはそうだろう、安易な言葉で自分の役職を悟られてしまうかもしれない。下手をすれば自分に狼の疑惑がかかってしまうかもしれない。そして…処刑されてしまうかもしれない。
震える手をぎゅっと握りしめても現実は変わらない。
これはいつもの悪夢じゃない。現実に起こっている悪夢だ。

「クソ!誰が何の目的でこんなことを?」
「それはまだ不明ですが…」
「狼を処刑したら、脱出の扉が開くって言ってたね♪そこで、なんだけど…今回の狼ってだれ?」
「……っ!」

リンタロウさんが皆言えなかったことを平然と口にした。ということは、リンタロウさんは狼ではない、ということだろうか。それともブラフなんだろうか。
リンタロウさんの表情からそれを読み取ることは出来ない。こんな状況で顔に出す人は少ないと思うけれど…私は顔に出やすいタイプだからなぁ…。
もちろんリンタロウさんの問いに答える人はいない。自身の命がかかった状態で狼だと名乗り出ることは難しいだろう。

「まぁ、こうなって当然ね…」
「もう騙し合いは開始しているというわけか…」
「…」
「…」
「…っ、あ、あのっ!」
「ん?どうしたの、ユウリちゃん」

突然声をあげた私にリンタロウさんが首を傾げる。
これが賢い行動だとは思わない。だけど、このまま静観してたって、何も始まらない。
その場しのぎだし、この後のことも何も考えていないけど、それでも。

「わっ、私!お、狼なんですけど…!」
「え?」
「は?」
「はぁ!?」

声が震えないようにしながらも叫べば、三者三様の反応が返って来た。
でも、自分の言葉を取り消すことは出来ない。
落ち着け、落ち着け、と心の中で繰り返しながら、ゆっくりと口を開く。

「えっと…私、狼のカードを引いてしまって…これって、私が狼ってこと、ですよね…?」
「……何言ってるの?ユウリちゃん」
「だからその…このままだと私は誰かを殺さなくちゃならなくて……で、でも…人を殺すなんて嫌だから……た、助けて欲しいなぁ、なんて…」
「助ける?」

訝しげにコウさんが眉をひそめる。
う、や、やっぱりこの人怖い…!

「だ、だってっ、狼は羊を殺さないと無条件に処刑されちゃうんですよね…?ひ、人を殺すの嫌ですけど、私、死ぬのも嫌です……!」
「…なるほど、分かった。お前は羊なんだな」

私の言葉にコウさんは呆れたように溜息をついた。

12:羊の失策→←10:命の選択肢



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設定タグ:狼ゲーム , 飯田リンタロウ , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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夕霧(プロフ) - 苺デラックスさん» コメントありがとうございます!私の文章でリンタロウの可愛さやかっこよさを表現出来ているか自信がありませんでしたが、そのように言って頂けて本当に嬉しいです。書きたい事が多く遅々とした展開となっていますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2018年7月6日 23時) (レス) id: 814c479c10 (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - あぁぁぁあー。リンタロウ可愛い!かっこいい!作者さん天才ですよね!?!?更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2018年7月6日 0時) (レス) id: ca55176d45 (このIDを非表示/違反報告)
akasiro814(プロフ) - ご指摘、ありがとうございました。オリジナルフラグを外しました。初めて使用するとはいえ、迷惑をかけてしまってすみません。今後、気をつけていきます。 (2018年7月1日 16時) (レス) id: 814c479c10 (このIDを非表示/違反報告)
@ - オリジナルフラグ外してねー編集画面を隅々までよく読んで (2018年7月1日 14時) (レス) id: da2bf38fbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨 | 作成日時:2018年7月1日 14時

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