６：膠着したゲーム ページ6
疑われたというのにケラケラと笑うリンタロウさんを困ったような悲しいような表情で見た後、ミサキさんは「あ、」と小さく呟いた。
小さかったはずなのに部屋に響いたそれを私の耳が拾う。リンタロウさんにも届いていたのだろう、目を丸くして「どうしたの？」と首を傾げる。
数瞬思案した後で、ミサキさんは口を開いた。
「あんな、リンタロウ君が狼じゃないなら…誰が狼なんやろか、と思って」
「ええと…リンタロウさんはコウさんを怪しんでるんですよね？」
「そうなん？」
「うん。さっき皆でカードを引いた時に少し顔を歪めてたからさ。もしかしたら狼なんじゃないかなーって♪」
確信は無いんだけどね♪と楽しそうにリンタロウさんが言う。
確かに、カードを引いた時の顔色だけで誰が狼かは分からない。顔が歪んでいたからと言って狼だとは断定は出来ないと思う。初日のサトルさんも、顔色は変わらなかった…ような気がするし。
皆動揺してたし、私もサトルさんを注視してたわけじゃないから確実なことは言えないんだけれど。
「でも、他に顔色が変わった人は居なかったし、警戒するにこしたことはないでしょ？」
「……せやね。コウさんには気をつけとかなアカンかもしれんね」
「私が意識を失っている間、コウさんは怪しい動きはしていなかったんですよね？」
「動こうにもリンタロウ君がユウリちゃんの側から離れようとせえへんかったからな…皆心配してたけど、探索に戻ったんよ」
つまり、狼が誰であれ、私が意識を失っている間には誰も行動を起こさなかった、狼は羊を殺さなかった、と言うことだ。
私が倒れているなら、どうとでもアリバイを作って羊を殺せそうな気もするんだけど。いや、殺して欲しいわけではないんだけれども。
今回の狼も一筋縄では行かないんだろうな、と思う。リンタロウさんの言う通り、人は自分の命が危なくなれば他人の命を犠牲にすることを厭わない。多分、私もそうなってしまうと思う。
自分なら羊を殺しているだろう状況で、それをせずにいて欲しいだなんて、甚だ高慢な考え方だけど。それでも、これ以上の血は見たくない。
「…あんな…今聞くことやないかも知れんけど、ええかな？」
「？はい、何ですか？」
「２人の距離が心なしかさっきより近い気がするんやけど…やっとくっついたん？」
「おおぅ！？」
「あはっ、バレたー？」
ミサキさんの指摘にリンタロウさんがそれはもう素晴らしい笑顔で答えた。
…少しも恥ずかしがっていないみたいだ。
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夕霧(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます！初めから見てくださっていたとのこと、半年間も途絶えていたのに引き続き読んでくださってありがとうございます…！なるべく毎日更新していこうとおもっていますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年5月16日 22時) (
レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - �気�ら見てますがとても面白いです！続きまってます♪ (2019年5月16日 7時) (レス) id: 1c94817be9 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - ノワブラ−αさん» リクエストですか…してもらえたら嬉しいですね笑いつになるか分からないですが、参考にさせてもらいます！ (2019年5月11日 22時) (レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
ノワブラ−α(プロフ) - あ、ネタはリクエストしてみてはどうですか？シチュエーションとかがわからない場合は少し書いてもらうとかもありかもですよ (2019年5月10日 21時) (レス) id: cf6ea17fd6 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - ノワブラ−αさん» イタズラしてみた、とか、告白してみた、みたいな感じですかね？ネタがあればやってみます！（笑） (2019年5月9日 0時) (レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：時雨 | 作成日時：2018年8月23日 21時
