２６：儚い約束 ページ26
だけど、リンタロウさんは怒らずに、真剣に話を聞いてくれた。…と言うよりも、何か考え込んでいるみたいだった。
特に危険な提案をしたつもりは無いんだけれど…あ、でも、結局狼を見つけ出すのは皆に任せてしまっているのか…！
皆が狼を探しているならそれに歩調を合わせるべきなのか、それとも自分が正しいと思う道を進むべきなのか。またも突き当たってしまった現実に頭を抱える。
どちらも大切な事だと思う。だけど、並行してできる事だとは思えない。ゲームの真相を探りながら狼を探す、なんて１２時間じゃあ時間が足りないだろう。ゲームの真相については手掛かりなんて少しもないんだし…。
でも、今更狼を探しても意味は無いと思う。いや、あるんだけど、私以外の誰かの方が適任なら、それ以外の事をした方が皆の邪魔にはならない。
例えリンタロウさんに反対されても、一人でもちゃんとやらないと。そう思って顔を上げれば、今にも泣き出しそうなリンタロウさんの顔が目に入った。
「ぇ…り、りんたろう、さん…？」
「……まさか、こんなに早いとは思わなかったよ」
「え？」
「もっと、遅いかと思ってた。まだまだたくさん犠牲を出して、罪の重さを自覚しないとゲームの真髄に目を向ける人なんて居ないと思ってた」
「………リンタロウさん…」
「手伝うよ、ユウリちゃん。例え僕が僕の罪の重さに負けて押し潰されて、ユウリちゃんの隣にいる資格のない怪物に成り果てても…それでも、僕はユウリちゃんを救いたい」
泣きそうになりながら微笑むリンタロウさんの言葉は、多分意図的に私に伝わりにくくしたものなんだろう。だけど私に何かを伝えたくて、それを一生懸命に形にしてくれていた。
リンタロウさんが何を背負っているのか、私には分からない。ゲームの真髄に近づいていて、だけど伝えられないのかもしれない。理由は分からないけれど、リンタロウさんは何かに縛られている。遠からず私から離れて行ってしまう。そう感じて、思わず抱き着いた。
「っ、ユウリちゃ、」
「私を救ってくれたら…その時は、リンタロウさんも救われていますか？」
「……っ！？」
「その時は……ちゃんと、隣にいてくれますか…？」
「………………善処するよ」
私の言葉に、リンタロウさんは普段のようにハッキリとは返事を返してくれなかった。
それでも、縋るように私を抱き締めてくれる。その温もりが嬉しくて、私はこれ以上リンタロウさんに言葉をかける事が出来なかった。
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夕霧(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます！初めから見てくださっていたとのこと、半年間も途絶えていたのに引き続き読んでくださってありがとうございます…！なるべく毎日更新していこうとおもっていますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年5月16日 22時) (
レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - �気�ら見てますがとても面白いです！続きまってます♪ (2019年5月16日 7時) (レス) id: 1c94817be9 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - ノワブラ−αさん» リクエストですか…してもらえたら嬉しいですね笑いつになるか分からないですが、参考にさせてもらいます！ (2019年5月11日 22時) (レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
ノワブラ−α(プロフ) - あ、ネタはリクエストしてみてはどうですか？シチュエーションとかがわからない場合は少し書いてもらうとかもありかもですよ (2019年5月10日 21時) (レス) id: cf6ea17fd6 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - ノワブラ−αさん» イタズラしてみた、とか、告白してみた、みたいな感じですかね？ネタがあればやってみます！（笑） (2019年5月9日 0時) (レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：時雨 | 作成日時：2018年8月23日 21時
