１８：後悔先に立たず ページ18
むしろ痛みで少し冷静になれたくらいだ。見つかって殺されるかもしれない恐怖はまだあるけれど、自分が何をすべきかくらいは判断出来る。
…いや、ただ息を殺すことしか出来ないんだけれど。
コツ、コツ、と狼がキッチンの中を歩く音が響く。それ以上に心臓の音が耳に届くせいで、有り得ない事は分かっているのだけれど、心臓の音が狼に聞こえてしまったらどうしよう、なんて危惧してしまう。
ガチャ、と言う音がすぐ隣から聞こえてきた時には思わずユキナリさんの服をギュッと握りしめてしまった。だけど開けられたのは違う場所だったようで、視界に狼の姿が映る事はない。
それでも、時間の問題のように思えた。狼は確実にこっちに向かっている。そしてその足音は私達の前で止まった。
何かされたわけでもないのに心臓が止まってしまったような錯覚を覚える。
どうしよう、とまたもや冷静さを失った頭で考えるけれど、妙案なんて思いつくはずもない。
もうダメだ、と覚悟を決めた時。
「うわぁぁあぁぁあ！！」
突然ユキナリさんが大声を上げた。耳元で上げられたその声に頭が揺れる。何事だろう、と考えられるようになる頃には狼の姿はそこには無かった。
どうやら他の人に見つかるのを恐れて逃げて行ってしまったみたいだ。
狼が戻って来る様子が無いのを確認して、二人でそこから出る。どうやら私はキッチンの棚に押し込められていたみたいだった。
「危なかった…取り敢えずは助かったみたいだね」
「…ユキナリさん、怪我したわけじゃ無いですよね？」
「え？…あぁうん、狼は誰かにバレたくなくてこんな時間に動き出したんだから、大声出せば逃げることを優先するかと思って」
「な、なるほど…ええと、それならさっき、大声出してたら狼も捕まえられてたかもしれないってことですか…？」
「……」
はたと思い当たって聞いてみれば、同じ思いに至ったのかユキナリさんが気まずそうに視線を逸らした。
……助けて貰ったのに余計な事を聞いてしまったかもしれない。しかもその策を思い付かなかったのは私も同じなんだし。
「…ごめん。俺も冷静じゃ無かったから」
「ぇ、い、いえ、その、私こそ助けて貰ったのに生意気言ってすみません…」
「狼の正体も結局分かってないし…ただユウリちゃんを危険な目に遭わせちゃっただけだね」
「そんな事ないです、ユキナリさんが居なかったら私死んでました。ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げるとユキナリさんは照れ臭そうに頭をかいた
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夕霧(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます！初めから見てくださっていたとのこと、半年間も途絶えていたのに引き続き読んでくださってありがとうございます…！なるべく毎日更新していこうとおもっていますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年5月16日 22時) (
レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - �気�ら見てますがとても面白いです！続きまってます♪ (2019年5月16日 7時) (レス) id: 1c94817be9 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - ノワブラ−αさん» リクエストですか…してもらえたら嬉しいですね笑いつになるか分からないですが、参考にさせてもらいます！ (2019年5月11日 22時) (レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
ノワブラ−α(プロフ) - あ、ネタはリクエストしてみてはどうですか？シチュエーションとかがわからない場合は少し書いてもらうとかもありかもですよ (2019年5月10日 21時) (レス) id: cf6ea17fd6 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - ノワブラ−αさん» イタズラしてみた、とか、告白してみた、みたいな感じですかね？ネタがあればやってみます！（笑） (2019年5月9日 0時) (レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：時雨 | 作成日時：2018年8月23日 21時
