義兄は私を嫌っている。Part2

第2話。 ページ23

〜3年前〜




「シンくん、国語のノート出してください。」

私は沢山の人に囲まれた彼の前に立って右手を出した。

「あ、わりっ…今日、忘れたんだわ」

「今日って…昨日もそう言ってたじゃないですか」

毎度毎度…この人は。

貴方が出してくれないと私が怒られるんですけど。

「まぁ、いいじゃん。シンはいつも出さないんだし。」

「てか、ちゃんとノートとってんの？」

「とってない」

「あははっ！お前がシャーペン持ってんの見たことねーもん」

「そういえば、私もないわ〜」

今日も相変わらずうるさい外野の人達。

そうやってシンくんを甘やかすから彼がどんどん調子に乗るんでしょ？

「明日こそは出して下さいね。」

私はそう言うと自分の席に戻り、次の授業の準備を始めた。

「ほんと、真面目だよね」

「な！喋っても全然面白くねーもん」

シンくんの周りからわざと聞こえるように言われる文句。

わかってるわよ、面白くない女だってことくらい。

私だってあんた達の事なんて大っ嫌いだし。

いつもピーピーキャーキャー群がって騒いでほんと馬鹿みたい。

嫌い…大っ嫌い。

「まぁまぁ、お前ら委員長がなんでも引き受けてくれるから楽してんだろ？そう騒ぐなって」

でも、なんでだろ…

私の大っ嫌いな輪の中心にいる貴方なのに…

何故か、いつもそうやって私を庇ってくれるそんな彼だけは嫌いになれなかった。

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