第3話。 ページ16
あれは一体何だったのだろうか?
あの感情は一体…
私が目を覚ますと、もう朝が来ていて乱れた服から察すると暴行を受けた後だったらしい。
いつもこうだ。
お兄ちゃん達に暴行されると意識を失うのか、中盤あたりから記憶がぼんやりとして何も思い出せない。
時刻はまだ6時前。
もう少し寝れるけど、目が覚めちゃったな…
今日はサッカー部の準決勝の日。
これに勝てば日曜日に決勝戦がある。
まぁ、田ノ浦くんにフラれた私とは全く関係がない話なんだけど。
なんだろ…
目の前が真っ暗になって息ができない。
食欲もないし、逆に吐き気すらする。
失恋ってこんな気持ちになるんだ。
前にクラスの子達が話してたのを聞いたことがあるけど、こんなにキツイことだったなんて…
いやだな…
図書室に行きたくない…
田ノ浦くんとの思い出がいっぱい詰まったあの場所には…
私は結局この日から体調不良を言い訳に図書室には一切立ち入らなくなった。
「お前、なんでいんの?」
図書室に行かなくなって3日が過ぎた朝、祭り以来久々に帰って来たシンお兄ちゃんが怪訝そうな顔でそう言った。
「ちょっと、体調が悪くて…」
「マジで顔色悪りぃぞ、ブスが3割増しだな。」
お兄ちゃんはそう言って鼻で笑うと飲んでいたお茶を冷蔵庫にしまって私の横を通り過ぎた。
あれ?
おかしいな…
いつもはここで部屋に連れ込まれて暴行されるのに。
違う…
ちゃんと聞かなきゃ…
あの曲は何かって。
私の頭の中で優しく、そして懐かしく流れるあの曲は何かって…
「…っ」
出ろ、声。
やっぱり怖い…
お兄ちゃんに私から話しかけるのなんてほとんどないから。
また逆ギレされて酷いことされるかもしれない。
でも…
今聞かなきゃ、心のモヤモヤは消えないかもしれないから…
「あの…お兄ちゃんっ」
私のその声にお兄ちゃんは目を見開いてゆっくりと振り返った。
「…んだよ」
よかった、怒ってないみたいだ…
「あのね…その…あの曲は…」
「は?聞こえねぇよ」
「あの祭りの時の曲…」
「祭り??それがなんだよ?」
「お兄ちゃんが弾いてた一番最初の曲の名前…教えてほしいの…」
「…なんで?」
なんだろう?
お兄ちゃんの様子…なんか変。
「なんだか、どこかで聞いたことがあるような気がして…」
お兄ちゃん…
どうしてそんな顔するの?
どうしてそんなに辛そうな顔をしているの?
ねぇ、どうして…?
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クロ - 久しぶりです! 少し来れてなくて....更新してくれて嬉しいです感激で語彙力が (2019年8月18日 13時) (レス) id: df4019f8a8 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - えだまめさん» わぁ、えだまめさんお久しぶりです!!part2までどうもありがとうございます!!part3でも元気をもらえたら嬉しいです!またお待ちしてます! (2019年6月4日 4時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - 二度目のコメント失礼致します…!お忙しい中part2更新お疲れ様でした!ドキドキの展開で完結まで楽しみです!part3も楽しみにしております! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 83643b9572 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 夜道さん» 夜道さん、コメントありがとうございます!part3はお兄ちゃんたちのことをメインで書いていこうと思うので最後まで見守っていただけると嬉しいです! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - リリム@MEIKO廃さん» リリム様、コメントありがとうございます!すごく嬉しいお言葉感謝します!part3でまたお会い出来ることを楽しみにしています! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりあ | 作成日時:2018年8月15日 23時