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第2話。 ページ3

夏休みに入って5日すぎた朝、私はいつも通りの時間に起きて学校に向かう。

なぜかというと、図書委員の仕事があるからだ。

図書室は夏休み中、お盆以外開いてるし結構テスト勉強をしている生徒で賑わっている。

私はその図書委員の仕事に率先して立候補した。

だって、家にいなくていいのは何よりの救いだから。



図書室につき、私はぼーっとグラウンドで練習をしている野球部を眺める。

だいたい、生徒達が図書室に来るのは9時過ぎくらいだからあと2時間は自由時間だ。

サッカー部の練習が始まるのも9時。

だから…

ガラ…

「田ノ浦くん、おはよう」

この2時間はとても大事。

「おはよ」

田ノ浦くんは眠そうに目をこすりながら図書室に入って来た。

そして、

「んーいい匂い」

いつものように私に抱きつく。

「くすぐったいよ」

「こら、暴れんな。」

田ノ浦くんはそう言って私の髪にスリスリと鼻を擦り付ける。

寝起きの田ノ浦くんはなんだか、甘えん坊な気がする。

あんなに嫌だった夏休みがこんなに幸せに感じるなんて…。

本当に田ノ浦くんのおかげだね。

「なぁ、ちゃんと決勝戦来てくれんの?」

「え…うん、ちゃんと行くよ」

「よっしゃ、それだけ聞けたら満足だわ。」

「本当に全部見に行かなくてもいいの?」

「いーの、そっちの方が頑張れるから」

でも、その間…田ノ浦くんに会えなくなるよ。

そう言おうと思ったのだが、それは喉元で止めた。

「負けないでね」

「当たり前だろ?ぜってぇ勝つから、心配すんな」

そう言って彼は私の髪をクシャクシャと撫でた。

「よし、少し寝るわ。膝枕して」

「え?」

「いーから、そこの机に座って」

「でも、机に座ったらダメだって…」

「ばーか、誰も見てねぇよ。」

彼はそういうと、私の体を軽々と持ち上げて机の上に乗せた。

「うん、最高」

田ノ浦くんも机に転がり私の太ももに頭を乗せて目をつぶった。

まつ毛長い…

「あんま、見んな。寝れねぇだろ?」

「ごめん…」

私が目をそらすと田ノ浦くんは少し意地悪く笑った。

「ん」

「え、なに?」

「見ればわかるだろ、ほら、ん。」

「やだ…恥ずかしいよ」

「じゃあ、目ぇ閉じといてやるから」

そう言って田ノ浦くんは目を瞑る。

「早くしねぇと舌突っ込むぞ?」

私はこの日、初めて自分から好きな人にキスをした。

顔が赤く染まっていくのが自分でもわかる。

「ははっ顔真っ赤じゃん、下手くそ」

彼はそんな私を見て優しく笑った。

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クロ - 久しぶりです! 少し来れてなくて....更新してくれて嬉しいです感激で語彙力が (2019年8月18日 13時) (レス) id: df4019f8a8 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - えだまめさん» わぁ、えだまめさんお久しぶりです!!part2までどうもありがとうございます!!part3でも元気をもらえたら嬉しいです!またお待ちしてます! (2019年6月4日 4時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - 二度目のコメント失礼致します…!お忙しい中part2更新お疲れ様でした!ドキドキの展開で完結まで楽しみです!part3も楽しみにしております! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 83643b9572 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 夜道さん» 夜道さん、コメントありがとうございます!part3はお兄ちゃんたちのことをメインで書いていこうと思うので最後まで見守っていただけると嬉しいです! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - リリム@MEIKO廃さん» リリム様、コメントありがとうございます!すごく嬉しいお言葉感謝します!part3でまたお会い出来ることを楽しみにしています! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まりあ | 作成日時:2018年8月15日 23時

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