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第4話。 ページ48

「ちょっと、あやか!!どうしたのその髪?!」

私が登校してくるなり、集まってくる生徒たち。

「んーちょっと気分転換??」

「まさか、蓮に振られたから!?」

うるせーよ。

それは禁句だぞ、バカ。

まぁ、みんなの前で派手に泣いたし当たり前か。

私はぎゃあぎゃあと騒ぐ友達を置いて自分の席に着いた。

そう、私は金髪を黒く染めて髪を短く切ったのだ。

みんなは前の方がいいとか言うけど、私は後悔なんかしていない。

だってこれが本当の私だから。

「あやかさん…」

次の授業の準備をしていると、渡辺さんが私の名を呼んだ。

「なに?」

「このハンカチ…本当にありがとうございました」

彼女は綺麗に洗濯されたハンカチを持って深々と頭を下げる。

「別にいいのに」

私はそう言って彼女からハンカチを受け取り、ポケットにしまった。

「あの…」

「なに、まだなんかあんの?」

「その髪、凄く素敵です」

彼女はそう言うとそそくさと自分の席に戻った。

なんなのよ、まったく。

そっちが照れながら言うから私まで照れちゃうじゃん。

ホント、変な子。

「なんであやか、にやけてんの〜」

「きもーい」

「うるさい!」

でも、正直…凄く嬉しいんだけど。






「お、蓮じゃん!」

その声に思わず反応する。

昼休み、友達とご飯を食べに中庭に向かっていると前から蓮が歩いてきた。

なんか、まだ気まずい…

泣き叫んだ日からしばらく避けてたし。

私は下を向いて蓮の横を通り過ぎる。

彼も特になにも反応することなく、通り過ぎていった。

私は一息ついて胸を撫で下ろす。

ふぅ…しばらくこれが続くのか。

結構、キツイな。



「あやか!!」

廊下の角を曲がろうとした時、大好きな人が私の名を呼ぶ声が聞こえた。

私は反射的に後ろを振り返る。

すると蓮は右手を上げて、

「その髪、すっげー似合ってる」

そういった。

やばい…

どうしよう…

不意打ちだよバカ…

私は溢れてくる涙を見られないように蓮に背を向けて手をひらひらと振った。

もう二度と私に話しかけてくれないと思ってた。

蓮…蓮…

私、やっぱりあんたが好きだよ。

でも、ちゃんと前に進むから。

あんたよりもっともっといい男作って自慢してやるから。

だから、あんたもやっと見つけたお姫様を大切にしなさいよ。



じゃあね、蓮。


じゃあね、私の初恋。


私は止まらない涙を拭って、短くなった黒髪をサラリと風に揺らした。

Part1終わり。→←第3話。



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まなか(プロフ) - はじめまして。すごくおもしろいです、全て読ませていただきましたが話がとても深く、とても感情移入してしまいました。更新等頑張ってください。楽しみにしてます (2021年1月12日 22時) (レス) id: 55942c365e (このIDを非表示/違反報告)
彩波 - 面白いです!!!! もう感動して泣きましたよー!! part 2も頑張ってください! (2019年2月16日 6時) (レス) id: 6f464ca19c (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 魅月さん» ありがとうございます!!そのコメントに元気をもらいました!! Part2の方もどうぞよろしくお願いします! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 匿名でいたいさん» うずうずさせてしまってすみません!笑笑 Part2できました^_^ Part2の方でもうずうずさせない程度に頑張りますのでよろしくお願いします! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - ゆうあさん» コメントありがとうございます!夢主が幸せになれるよう最後まで見守ってください^_^これからもコメントお待ちしております! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まりあ | 作成日時:2018年4月20日 4時

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