第1話。 ページ30
「…遅れてごめん…ごめん…」
彼女はそう言って俺の胸に額を当てた。
「なんかあったの？」
彼女からこんな事をされたのは初めてだから、俺がそう思うのは当然で。
「…助けて…」
「なぁ！？なにがあったんだよ！」
「お願い…早くここから連れ出してっ」
「…わかった。とりあえず遠くに行こう」
一応、彼女を落とすプランは考えてたけど全部キャンセルだな。
とりあえず異常事態だと悟った俺は携帯で電車の時間を確認し泣きじゃくる彼女の手を引いて駅へ向かった。
ガタン…ガタン…
最初は混雑していた電車も少し田舎に入るとスカスカになってきた。
彼女はあれから一言も話すことなく静かに電車に揺られている。
俺…いつからこんなに口下手になったんだ？
彼女といると時々、自分がわからなくなる。
「…ごめんね」
気まずい沈黙の中、最初に口を開いたのは意外にも彼女だった。
「謝らなくていいよ、俺もちょうど遠くに行きたい気分だったし」
「この電車…どこまで行くんだろう？」
「実は俺もあんまり乗ったことないから、知らないんだよね。」
「ちゃんと帰れるかな？」
「不安？」
「ううん…貴方と一緒だから大丈夫」
そう言って彼女は泣き腫らした目でにこりと笑った。
とくん…とくん…
やっべ、心臓の音…絶対彼女に聞こえてる。
俺が落とすはずだったのに。
俺ばっかり君のことを好きになって。
君の心はまだわからないまま…。
「好きだ」
気づいた時には手遅れとはこういうことだ。
我にかえった時にはもう遅かった。
でも、この気持ちは抑えられない。
もう戻れない。
俺は目を見開く彼女を自分の方へ引き寄せて噛み締めた跡のある唇に自分の唇を重ねた。
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まなか(プロフ) - はじめまして。すごくおもしろいです、全て読ませていただきましたが話がとても深く、とても感情移入してしまいました。更新等頑張ってください。楽しみにしてます (2021年1月12日 22時) (
レス) id: 55942c365e (このIDを非表示/違反報告)
彩波 - 面白いです！！！！ もう感動して泣きましたよー！！ part 2も頑張ってください！ (2019年2月16日 6時) (レス) id: 6f464ca19c (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 魅月さん» ありがとうございます！！そのコメントに元気をもらいました！！ Part2の方もどうぞよろしくお願いします！ (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 匿名でいたいさん» うずうずさせてしまってすみません！笑笑 Part2できました^_^ Part2の方でもうずうずさせない程度に頑張りますのでよろしくお願いします！ (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - ゆうあさん» コメントありがとうございます！夢主が幸せになれるよう最後まで見守ってください^_^これからもコメントお待ちしております！ (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まりあ | 作成日時：2018年4月20日 4時
