この歌を風に乗せて… (ページ4)

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エピソード2 ページ4

パタンと音を立てて閉めた本

しんと静まり返った部屋には不思議なくらい響く

ふと窓の外を見れば雪が降り始めていた

そっと席を立ち窓辺に移動する

窓ガラスにそっと手を当てる

(冷たい…)

そう思うのと同時にキィーと音がして扉が開く

振り返ればハインツ様が立っていた

私は一礼する

『こんにちは。ハインツ様』

「こんにちは、でいいのかな?」

少し躊躇ったあとに返してくれる

私は少し微笑み返す

『はい。私の本の中ではそう挨拶していたそうです』

それでと、私は付け足す

『今日はどうなされましたか?』

「キース兄様がこちらに来ていたかと思って。だけど」

『そうですね。残念ながらいらしてませんね』

「そうみたいだね」

『キース、様はロイド様方と一緒にいるのではないでしょうか?』

「それが、ロイドも知らないみたいなんだ」

『そうでしたか。ロイド様が分からないことは私にも分かりかねます』

すみませんと続けた

そんなときに歌が聞こえた

♪～～～、♪～～～～～

『…?』

「歌?」

『ハインツ様聞こえますか?』

「あぁ、これは歌?」

(どこか懐かしい歌……知っている気がする…この声を、歌を)

「何か、異変があったのかもしれない。見てこよう」