42＊夕焼け色に染まる ページ44
そわそわしながら下駄箱までの廊下を歩く。
斜め前に座る彼との約束のことを考えたら、授業なんて1コマも身が入らなかった。
休み時間も目が合って、慌てて逸らしたりして。
…感情が忙しかった。
ひょい、と顔だけ出して昇降口をのぞくと、彼はもうすでに人待ち顏で立っていて。
そっと近づく。
「ご、ごめん、待たせちゃって！」
遠慮がちに声をかけると、こちらを向いた天宮くんは、嬉しそうに笑った。
「ん！来てくれた、…行こっ」
手を引かれて、行き先も分からないまま学校を出る。
少し後ろを歩く私は、彼のふわっとした茶髪を見つめて、勝手にドキドキしてみたり。
「……あの、天宮くん、何処へ…」
「ひーみーつ！すぐだから、ね？」
「……う、うん」
＊
思ったより早く到着したそこは、白くて大きな橋の上。
普段通らないから、遠くから見たことしかなかった場所だ。
「ついたー！」
小学生みたいにはしゃいで、今にも橋から身を乗り出しそうな天宮くん。
危ないよ…！と止めながらも、彼がはしゃぐのもよく分かる。
「ほらA、見て！」
そう、
橋から見える夕焼けが、
とてもとても綺麗だったから。
空いっぱいに広がる鮮やかな赤、黄色、オレンジの光。
「綺麗…！…眩しい、」
私も歓声を上げる。
すると、天宮くんが私の肩を軽く叩いて、
「…A」
真剣な声で呼ばれたから、そちらに向き直った。
「な、なに…？」
すると、天宮くんは頭を下げて、ぱちんっと両手を合わせて。
「…昨日は、ごめんっ！！」
「え？！」
「昨日！！勢いでキスとかしちゃって！！もしかして、…その、…ファースト……」
遠慮がちに聞かれたので、「あ、うん、」って頷いた。天宮くんは額に手を当て、完全にやらかした、って顔。
「わああもう！！申し訳ないし恥ずかしいし！！せんせーに乗せられた俺が馬鹿だった！！」
「…天宮くん、」
「あのね！…も、もし嫌じゃなかったらっ、」
天宮くんの顔が近づく。
昨日よりも、もっと繊細に。
「………もっかい、
…ちゃんと、しても…いい？」
……ずるい、そんなの。
そんな甘い声で言われちゃったら、頷くしかないでしょう。
ああ、どうか、
照れていることに気づかれませんように。
顔が赤いのは夕日のせいだ、
誤魔化すように思いながら、目を閉じて受け入れる。
彼と私の影が重なった。
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イリカ(プロフ) - わ！楽しみにしてます！これからも頑張ってください！！ (2018年6月3日 15時) (
レス) id: 795815d954 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» そんなことないですよー！今はまだちょっと言えないんですが、本編の終わった直後にそのアイディアがちょうど入れられそうな番外編の構想があるので、楽しみにしていただけたらと思います…！多分月に憧れての方に入るので…！ (2018年6月3日 6時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
イリカ(プロフ) - いえいえ、無理なお願いをしてしまい、本当に申し訳ないです。すみません！これからも楽しく拝読させていただきます！！ (2018年6月2日 23時) (レス) id: 795815d954 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» 本編に入れることは叶わなそうなので、それは申し訳ないです！> < (2018年6月2日 14時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» ありがとうございます…！リクエストすっっっごく嬉しいです！！実はお話の展開が最後まで固まってしまったところなので、最終回の後に更新する番外編で、そのアイディアでお話書かせてもらってもいいでしょうか…？！私もぜひぜひ書かせてほしいです、、！ (2018年6月2日 14時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
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