35＊ひさかたの ページ37
2時間目が始まった。
「よーっし、始めるよ！ちゃんと予習してきた人！もう大好き！！まだの人は、僕が黒板書く間に急いでやること！いい？」
古典の授業。
いつも通り歌詞先生が、黒板に本文を書き始める。
予習してないや、と、急いでノートを開いた時だった。
隣の人が、折りたたんだノートの切れ端を私の机に乗せる。
『Aへ！』
たまに、なつめと優花と手紙を回しているんだけど、
『天宮の誕生日どーすんの！A！！』
『よし、ここは思い切ってキスしよう』
…なんでそうなるの。
呆れつつも、予習をせずにこっそり返事を書いた。
『出来るわけない！
というか、2人は恋してないの？』
6月30日が天宮くんの誕生日。
どんな風に祝おう。
「…さん、草壁さん！」
「は、はい！」
「ここ、読んでくれる？」
わ、ぼーっとしてた。
歌詞先生に当てられ、黒板を見る。
"久方の 天つみ空に 照る月の
失せなむ日こそ 我が恋止まめ"
「えー、…ひさかたの、あまつみそらに、てるつきの、…うせなんひこそ、あがこいやまめ…」
「訳はどう？」
「あの、…予習してなくて、」
「うん、じゃあ、一緒にやろうか。
いいかい？『久方の』は、『天つみ空』…つまり空、これを導く言葉なんだ。
だから、『空に照る月が』ってなるんだけど…」
「…空に照る月が、…『失せなむ日』だから…『消える日には、』…私の恋は、………止まって、しまう」
「そう、まあ、大体そんな感じ！
月が無くなる日に、私の恋は止まってしまう。
でも月なんて普通は無くならないでしょ？私のあなたへの気持ちも、同じように無くならないですよ、というわけ。
…ね、天宮翔太くん？」
先生が突然、天宮くんに話を振った。
「ん、俺ですか？…まあ、はい」
「これは君に恋する女の子達の心情を詠んだ短歌とも言えるわけだ、分かる？」
「いやそれは分からないです」
「僕が草壁さんを当てたのもジョークだったんだけど」
「っ、ちょ、…はぁ？！せんせ、」
動揺して椅子からがたんっ、と立ち上がる天宮くん。
と、真っ赤になって固まる私。
先生はいたずらっぽく笑う。
「くくく、…あぁ、ごめん…！これ、このクラスでは絶対やるって決めてたんだよね…！！」
どっ、と教室中に笑いが広がった。
ちょっとちょっと歌詞先生。
天宮くんと仲良しなのは分かるけど私にも被害が…！
「これ、テスト全員満点だからね！約束！」
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イリカ(プロフ) - わ！楽しみにしてます！これからも頑張ってください！！ (2018年6月3日 15時) (
レス) id: 795815d954 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» そんなことないですよー！今はまだちょっと言えないんですが、本編の終わった直後にそのアイディアがちょうど入れられそうな番外編の構想があるので、楽しみにしていただけたらと思います…！多分月に憧れての方に入るので…！ (2018年6月3日 6時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
イリカ(プロフ) - いえいえ、無理なお願いをしてしまい、本当に申し訳ないです。すみません！これからも楽しく拝読させていただきます！！ (2018年6月2日 23時) (レス) id: 795815d954 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» 本編に入れることは叶わなそうなので、それは申し訳ないです！> < (2018年6月2日 14時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» ありがとうございます…！リクエストすっっっごく嬉しいです！！実はお話の展開が最後まで固まってしまったところなので、最終回の後に更新する番外編で、そのアイディアでお話書かせてもらってもいいでしょうか…？！私もぜひぜひ書かせてほしいです、、！ (2018年6月2日 14時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
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